(※写真はイメージです/PIXTA)

2020年5月に金融商品取引法が改正されて誕生した「デジタル証券(ST:セキュリティトークン)」。金融商品の小口化をもたらし、流動化を促進するデジタル証券は、個人投資家の資産運用にどのような変化をもたらすでしょうか。PayPay証券の創業メンバーで、現在はHash DasH株式会社取締役の三好美佐子氏が詳しく解説します。

主なオルタナティブ資産③…不動産

古くから「財産三分法」として「預貯金・株式・不動産」の組み合わせで保有されるなど、不動産は有力な資産分散、リスク分散の投資先として利用されています。

 

不動産は、日々相場が変動するものではなく価格の安定性が魅力です。また、物価上昇時には家賃が上がる傾向があり、家賃収入が上がればその物件の価格も上がる可能性がある点から「インフレヘッジ」としても有用です。

 

リスクとしては、空室・家賃滞納、地震・火災、立地条件による価格変動などが挙げられますが、比較的身近で理解しやすいものではないでしょうか。

 

このオルタナティブ資産の代表格、不動産投資のデメリットとしては、まとまった資金が必要であったり、換金に手間や時間がかかるといった点があります。

デジタル証券で「資産防衛・資産形成」が変わる

これらの解決策として登場したのが、まさに「デジタル証券(ST)」です。小口化・流動性向上を実現したことで、株式・債券のトラディッショナル資産と同じレベルでの使いやすさが付加されました。

 

デジタル証券は、不動産STのほかにも、非常に幅広い投資対象を気軽に購入・売却することを可能にします。

 

ダイヤモンドなどの宝石・貴金属類やブランド牛肉、地方創生事業など、「いままでは個人投資家がアクセスしにくかった投資対象」が登場してくる可能性があります。

 

成長が期待できるモノ・サービスへの投資が手軽に自由にできることになれば、いままで実行しにくかったオルタナティブ資産、特に未公開株の代替として使うことができるかもしれません。

 

また、デジタル証券のスキームとして、リスク・リターンを積極的に追求していく持ち分(劣後部分)と下値リスクを制限して安定的な投資ができる持ち分(優先部分)を作ることができます。この「優先部分」に着目すると、いままで限られた富裕層のみアクセス可能であったオルタナティブ資産の「ヘッジファンド」に近い役割を負ってもらうことができそうです。

 

このようにデジタル証券は、いままで機関投資家や一握りの富裕層の特権だった資産防衛策を誰にでも手の届くものにします。そしてデジタル化と小口化により、わたしたち一般投資家の資産防衛、資産形成の方法ははるかにスマートで広大なものになるでしょう。

 

デジタル証券の普及は、知る者と知らざる者、さらなる二極化のはじまりかもしれません。

 

 

三好 美佐子

Hash DasH株式会社

取締役

 

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