(※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルス蔓延に世界中が恐怖した当初、M&A業界も大打撃を覚悟しました。ところが実際は、2021年のM&A活動は過去最高を記録しました。しかし今度は、新型コロナ以外にも世界的なリスクが複数立ちはだかっています。ロシア問題、インフレ危機、サプライチェーン等の懸念…。これらは今後のM&Aにどう影響するのでしょうか。※本記事は、Datasite日本責任者・清水洋一郎氏の書き下ろしです。

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    もはやニッチな関心事ではないESG、さらなる加速へ

    環境・社会・ガバナンス(ESG)要素(「Deal Drivers: EMEA 2022 Outlook」参照)は、もはやニッチな関心事ではありません。このトレンドは、M&A活動にも大きな影響を与え始めています。特に、2021年11月中に英国で開催されたCOP26サミットで、各国政府が気候変動の抑制に関する新たな目標を約束したことを受け、今後、この動きは加速するものと思われます。

     

    これらの目標を達成するために、企業は厳しい新たな規制に直面しており、企業のESGの実践がこれまで以上に注目されることになるでしょう。そのため、企業はESGの信頼性を高めたいという願望と、専門外であったり、業績が振るわなかったりする事業を手放したいという願望から、取引を行うことになるでしょう。

     

    調査によると、EUのディールメーカーはマクロ経済への懸念(21%)とESGリスク(16%)に最も悩まされており、英国のディールメーカーはサプライチェーンの制約(19%)と労働力不足(17%)が2022年のディール成功への最も脅威であると考えています。

     

    EMEA地域(ヨーロッパ、中東、アフリカ地域)では、TMTセクターのM&A活動が最も多く、次いで消費者セクターが好調、そして工業と化学が3位につけています。また、ディールメーカーは、トルコ、中東、アフリカにも潜在的なビジネスチャンスを求めています。

    プライベート・エクイティ、APACのM&Aに強気の姿勢

    世界レベルで見ると、プライベート・エクイティ・セクターは1兆9,000億米ドルのドライパウダーに支えられて2021年を迎えました。2022年、プライベート・エクイティのディールメーカーは、これまでにないほどの大量の資金を背景に、世界中でM&Aを推進する見通しですが、APAC地域が特に注目される見込みである理由は十分にあります。

     

    Mergermarketの調査(「Deal Drivers: APAC 2022 Outlook」参照)によると、PEファームは、これまで他の地域に比べて存在感が薄かったAPAC市場に対して特に強気であることが示されています。

     

    この地域では、工業・化学品(I&C)が最も忙しいセクターであり、次いでTMT、消費者セクターとなっています。2022年、APACにおけるデジタルによるビジネスの破壊と変革がディールメーキングに重要な役割を果たすこととなるでしょう。

     

     

    清水 洋一郎
    Datasite 日本責任者

     

     

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