(※画像はイメージです/PIXTA)

ただでさえややこしい相続手続き。国をまたいだ相続が発生すると、「どちらの国の法律に準拠すれば?」といった疑問が湧き出ます。日本と韓国の相続手続きについて、日本経営ウィル税理士法人の顧問税理士・親泊伸明氏が解説していく本連載。今回は、「遺言」と「遺留分」についてみていきましょう。

日本と韓国では「遺留分」を有する相続人が違う!?

■遺留分

遺言に基づき遺産分割をおこなう場合に生じる恐れがある問題が「遺留分」の問題です。

 

「遺留分」とは、相続人の中で一定範囲の人たちに、相続財産の一定の割合の取得を保障する制度のことです。

 

「遺留分」を侵害された相続人は、遺留分を侵害した相続人に対し、「遺留分侵害額請求」をおこなうことで、遺産のうち一定割合の財産を取得することができます。この遺留分は日本民法にも韓国民法にも規定されています。

 

なお、日本民法と韓国民法では遺留分を請求する権利を有する相続人が異なります。

 

[図表3]

 

図表3のように、日本民法では「兄弟姉妹以外の相続人は、」と規定されているのに対し、韓国民法では兄弟姉妹を含めて、遺留分を有するとされています。

 

そのため、兄弟姉妹が相続人となる相続で、他の方(例えば、婚姻関係にないパートナーなど)に財産をすべて相続させたい場合には、韓国民法を適用すると相続人である兄弟姉妹に遺留分が存在し、遺留分侵害額請求をされる恐れがあるため、在日韓国人の方であれば、兄弟姉妹には遺留分がない日本民法を選択するなど、注意が必要です。

 

■まとめ

今回は遺言と遺留分について説明いたしました。

 

最近はテレビなどでも相続トラブルの話題をよく目にします。そのようなトラブルにならないようにするために、気持ちを「遺言」として残すことは一つの方法といえます。

 

せっかく作成した遺言書が無効とならないよう、遺言書を作成される際には専門家の方にご相談されることをお勧めいたします。

 

 

親泊 伸明/しんぱく のぶあき

日本経営ウィル税理士法人 顧問税理士

本稿は筆者が令和4年1月現在の情報に基づき、一般的な内容を簡潔に述べたものである為、その内容の正確性、完全性、最新性、信頼性、有用性、目的適合性を保証するものではございません。実際の判断等は個別事情により取り扱いが異なる場合がありますので、税理士、弁護士などの専門家にご相談の上ご判断下さい。

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