ウクライナ問題で露呈した欧米の「ロシア依存」…脱却の妙案 (写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、武者リサーチが2022年3月16日に公開したレポートを転載したものです。

日本は新冷戦時代のエネルギー政策にどう対応すべきか

核を保有する現状変更勢力国、ロシア、中国、北朝鮮の3カ国に世界で唯一国境を接している日本の潜在的リスクは極めて大きい。

 

ドイツに見られるように、これまでの政策の抜本的転換が必要である。同盟の強化、軍事力の整備・近代化とともにエネルギー安全保障体制の再構築は急務である。

 

手始めは原発の再評価であろう。原発再稼働論議に、原発の安全性のみならず国家安全保障上の配慮が加わることは必至である。

 

エネルギー自給率を国際比較すると、日本は12%と主要国中最低である。米国97%、中国80%には遠く及ばず、ロシアの脅威に晒されているドイツ37%、イタリア23%よりも低い。

 

出典:IEA「World Energy Balances 2019」の2018年推計値、日本のみ資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」の2018年度確報値。 表内の順位はOECD35カ国中の順位
[図表1]主要国の一次エネルギー自給率比較(2018年) 資源エネルギー庁 出典 IEA:「World Energy Balances 2019」の 2018年推計値、
日本のみ資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」の2018年度確報値。
表内の順位はOECD35カ国中の順位

 

出所: 資源エネルギー庁
[図表2] 各国の一次エネルギー自給率推移 出所: 資源エネルギー庁

 

長期的にはゼロカーボンを目指した脱化石燃料化、再生可能エネルギー化の推進が基軸である。しかしエネルギー供給構造全面的転換までの長い期間、依然として火力発電が中心になる。

 

米国・オーストラリアなどの安定供給先からの天然ガス・LNG継続投資が必要である。

 

加えて自給率の向上には、クリーンかつ安全保障に資する原子力発電の再評価が必須であろう。現存する36基の原発のうち、再稼働されたのは10基にとどまる。

 

安全とされる運転期間を現行の40年から60年への延長も求められる。加えてより安全な小型モジュール式原子炉(SMR)の必要性が高まってこよう。

 

フランスでは昨年11月、原子力発電の新増設再開に舵を切った。ウクライナ戦争と言う新事態に対応して、ドイツやフランスのように日本もエネルギー政策を抜本転換する時であろう。

 

出所:資源エネルギー庁
[図表3]日本の電源構成推移 出所:資源エネルギー庁

 

 

武者 陵司

株式会社武者リサーチ

代表

 

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    株式会社武者リサーチ 代表

    1949年9月長野県生まれ。
    1973年 横浜国立大学経済学部卒業後、大和証券に入社し、調査部に配属。87年まで企業調査アナリストとして繊維、建設、不動産、自動車、電機・エレクトロニクスを担当。ニューヨーク駐在の大和総研アメリカでチーフアナリスト、大和総研企業調査第二部長を経て、1997年1月ドイツ証券入社し、調査部長兼チーフストラテジスト、2005年副会長兼チーフ・インベストメント・アドバイザーに就任。2009年7月株式会社 武者リサーチ設立、現在にいたる。

    著者紹介

    連載武者リサーチ経済・金融市場分析レポート

    本書で言及されている意見、推定、見通しは、本書の日付時点における武者リサーチの判断に基づいたものです。本書中の情報は、武者リサーチにおいて信頼できると考える情報源に基づいて作成していますが、武者リサーチは本書中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、武者リサーチは一切責任を負いません。本書中の分析・意見等は、その前提が変更された場合には、変更が必要となる性質を含んでいます。本書中の分析・意見等は、金融商品、クレジット、通貨レート、金利レート、その他市場・経済の動向について、表明・保証するものではありません。また、過去の業績が必ずしも将来の結果を示唆するものではありません。本書中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、武者リサーチは当該情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。貴社が本書中に記載された投資、財務、法律、税務、会計上の問題・リスク等を検討するに当っては、貴社において取引の内容を確実に理解するための措置を講じ、別途貴社自身の専門家・アドバイザー等にご相談されることを強くお勧めいたします。本書は、武者リサーチからの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。

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