日本は新冷戦時代のエネルギー政策にどう対応すべきか
核を保有する現状変更勢力国、ロシア、中国、北朝鮮の3カ国に世界で唯一国境を接している日本の潜在的リスクは極めて大きい。
ドイツに見られるように、これまでの政策の抜本的転換が必要である。同盟の強化、軍事力の整備・近代化とともにエネルギー安全保障体制の再構築は急務である。
手始めは原発の再評価であろう。原発再稼働論議に、原発の安全性のみならず国家安全保障上の配慮が加わることは必至である。
エネルギー自給率を国際比較すると、日本は12%と主要国中最低である。米国97%、中国80%には遠く及ばず、ロシアの脅威に晒されているドイツ37%、イタリア23%よりも低い。
長期的にはゼロカーボンを目指した脱化石燃料化、再生可能エネルギー化の推進が基軸である。しかしエネルギー供給構造全面的転換までの長い期間、依然として火力発電が中心になる。
米国・オーストラリアなどの安定供給先からの天然ガス・LNG継続投資が必要である。
加えて自給率の向上には、クリーンかつ安全保障に資する原子力発電の再評価が必須であろう。現存する36基の原発のうち、再稼働されたのは10基にとどまる。
安全とされる運転期間を現行の40年から60年への延長も求められる。加えてより安全な小型モジュール式原子炉(SMR)の必要性が高まってこよう。
フランスでは昨年11月、原子力発電の新増設再開に舵を切った。ウクライナ戦争と言う新事態に対応して、ドイツやフランスのように日本もエネルギー政策を抜本転換する時であろう。
武者 陵司
株式会社武者リサーチ
代表
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