(※写真はイメージです/PIXTA)

経営者が会計の知識を持ち、会社の数字を終えるようになると、問題とその解決策が具体的に浮かび上がってきます。商品価格は適正なのか、顧客は満足しているのかといった点まで、鮮明になるのです。経営者が必ず押さえるべきポイントを、中小企業のサポートを行う公認会計士が平易に解説します。

客が「自社から購入してくれる理由」を答えられるか?

中小企業の場合、商品以外に同業他社に勝るポイントを作ることが重要です。価格以外の魅力を打ち出し、「同業他社でなく、自社から購入してくれる理由は何か」という問いに、はっきりと答えられるようでなくてはいけません。

 

商品そのものの品質は大手に勝てなかったとしても、接遇態度や、納期などの対応スピード、アフターフォローの丁寧さなどを意識することで、売上高アップにつなげることができます。

 

こうした戦略を考えるときは、顧客ターゲットをきちんと設定するようにしましょう。

 

例えば、あなたが旅館の経営をしているとして、「数十年来のお客様」と「新しいファミリー層」を対象にするのでは、提供するサービスは自然と変わります。「数十年来のお客様」であれば、高齢化をしているので、食事やサービスの内容を合わせていく必要があります。もしファミリー層を開拓するのであれば、キッズコーナーを設けたり、子ども用の食器を用意したりといった工夫が考えられます。

 

このように、顧客ターゲットが求めるサービスを行い、感動を与えられれば、売上の単価は上がっていきます。また、固定客にすることができれば、売上を構成する「単価」だけでなく「数量」も増やすことができます。

 

一方、高単価の商品が売れているものの、数量が不十分というケースもあります。

 

販売数量アップを考えるときは、この計算式を頭に置いてください。

 

販売数量=顧客の数×1人当たり購入量×リピート回数

 

つまり、より多くの顧客に、たくさん、何度も買ってもらうための取り組みが必要になります。このときも安易な値下げは厳禁です。高単価商品が売れない理由は、値付けの問題ではなく、価値がきちんと伝わっていないことにあります。

 

このとき、必ずしも多額の予算を使う必要はありません。中小企業の販促に役立つ、お金のかからない方法として、このような方法が考えられます。

 

●新規市場など、新たな販路を探す

●ホームページのデザインなどを整えて、見つけてもらえるようにする

●SNSや広告による広報活動をする

●メールマガジンなどで、既存顧客に定期的に思い出してもらえるしくみを作る

●商品やサービスの名前を変える

●商工会議所などの団体の集まりから顧客接点を増やす

●取引が減少した取引先に、理由を聞いて改善する

●売れ筋商品や新商品を出す

●売れ筋商品やレジ周りの商品の陳列を工夫する

 

単価と数量のどちらも増やすために有効な手段が、訪問営業や電話営業です。デジタル化に伴って、かつてほどは重視されていませんが、私は、今なお売上高アップのための有効な手段と考えています。SNSなどのデジタルツールも有効ですが、中小企業の営業は個別対応が求められます。顧客の話を聞いて、ニーズに応えることが王道です。

 

そのためには、社長自身が動くとともに、営業担当の行動を記録し、改善する姿勢が求められます。「行くべきところに行っているのか」「会うべき人に会っているのか」「伝えるべきことが伝わっているのか」というポイントをチェックしてください。重要な商談のタイミングには、上司が同行する体制づくりも効果的です。

 

このような取り組みを行いながら、月に1度は売上高の変化をチェックします。施策がうまくいっているのかを確認し、あまり効果がなければ別の方法にチャレンジします。すべての施策に一気に取り組むのは現実的ではありませんから、できることから試してください。

 

 

小形 剛央
税理士法人小形会計事務所 所長
株式会社サウンドパートナーズ 代表
税理士・公認会計士

 

 

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本記事は『たった3か月で売上高倍増!これだけは知っておくべき社長の会計学』(幻冬舎MC)より抜粋・再編集したものです。

たった3か月で売上高倍増!これだけは知っておくべき社長の会計学

たった3か月で売上高倍増!これだけは知っておくべき社長の会計学

小形 剛央

幻冬舎MC

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