「自分が何をしたいか分からない」…そのように悩む若い世代は少なくありません。充実した人生を送るには、「人に勧められたから」といった受動的な選択をするのではなく、自分の思いに正直になることが重要です。脳神経外科医として活躍する筆者が、自らの経験を通し、率直な思いと考えを語りながら解説します。

「手が届きそうだから」と選ぶのは、やめたほうがいい

ただし、「ラクそうだからユーチューバーになりたい」というのは危険な考えです。最近はユーチューバーが子どもに人気の職業らしいですが、「YouTubeでラクに儲けられそう」と言う前に、本当にそうなのかをよく考えてみなければいけません。

 

小さい頃はサッカー選手や野球選手に憧れていた子どもがその夢を途中で諦めるのは、そこに至るまでの選手の苦労を知っているからです。テレビのドキュメンタリー番組で見たり、大人に聞いたり、実際に自分も試合で負けたりして、その道が険しいことはよく分かっていきます。

 

でも、ユーチューバーの陰の部分はなかなか見えません。YouTubeでは成功した人のキラキラした姿しか見ていませんから、「億を稼ぐのは簡単そうだ」「自分にもできそう」などと思ってしまうのです。その人がどれだけ裏で苦労しているかは分かっていないのに、です。

 

僕はわが子には、YouTube上で犯罪を行った人や大怪我をした人の動画も見せています。成功の後ろに隠されている「闇」も見せておかなければ実態が分からないと思うからです。それでもわが子がユーチューバーになりたいというなら、僕は全力で応援するつもりです。

 

いちばん良くないのは「自分にも手が届きそうだから」という思いでその仕事を選ぶことです。学校選択でもそうですが、手軽だからという理由で選ぶことはやめたほうがいいです。

 

なぜなら、そのときは近道だと思って選んだ道が、もしかしたら遠回りになるかもしれないからです。自分に合わなければ結果的にふりだしに戻ることもあります。僕の周りにも、目の前にぶら下がっていた、手に取りやすい選択肢を選んだために自分自身が満たされず、人生を後悔することになった人が何人もいます。

 

理由が高尚なものであれ、実利的なものであれ、とにかく「こうしたいから、こうする」と自分で決めるのが「能動的選択」です。その反対に「ラクそうだから」「自分にもできそうだから」と受け身で選ぶのが「受動的選択」です。それらのうち人生を充実させるのは、能動的選択です。

 

ついラクな道を選びたくなる気持ちは分かりますし、失敗が怖いから確実に手に入れられそうな選択肢を選びたいのも理解できます。でも、どんな仕事でもラクとか楽しいと思えることばかりではありません。苦しい下積みの時期がきっとあるはずです。

 

そんな時期を乗り越えられるのは、やはり「自分はこうしたいから、こうする」と能動的に選んだ人なのです。自分の軸に沿って選んだことによって、たとえすぐに成功しなくても簡単には諦めようとはしません。そして自分で人生の糧を手に入れようと踏ん張るはずです。

 

どんなものにも光と闇があり、成功と失敗があります。失敗や苦労を避け続けている限り、成功は決して手に入られないのです。

 

 

郭 樟吾

脳神経外科東横浜病院 副院長

 

 

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郭 樟吾

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