(※写真はイメージです/PIXTA)

経営者が細かく指示しなくても社員が主体的に行動し、事業を進めていく「自走型組織」に変わるために必要な要素は4つあるといいます。経営者たちが抱える「組織変革」の悩みを組織改革コンサルタントの森田満昭氏が解説します。

組織変革に不可欠な「心理的安全性」

▶循環的に物事をとらえ、本質を見るためのシステム思考

問題が起これば原因を追究し、それを正せば問題解決になるというのがロジカルシンキング(論理思考)です。ビジネスではもはや当たり前の思考フレームですが、人の感情が絡む問題をこのやり方で押し進めると他責的、対立的になる傾向があります。問題の本質はどんどん隠れてしまい、ほとんどの場合解決しません。

 

そこで問題を見るのではなく「問題が起こりやすい構造」を見る必要があるわけです。表面的に起こっている出来事の背景ではさまざまな要素が複雑に絡み合っているため、表面の問題だけを解決しても問題はずっと起こり続けます。大切なのは、まずその構造を理解し全体状況を把握することです。そして、問題となる要素の相互関係を明らかにすれば、本質的な解決策を見いだすことができます。これがシステムシンキング(構造思考)です。この思考フレームでアプローチすると、他者や他部門との協調性が得やすくなります。

 

▶互いに傾聴し合う質の高い対話

社員の活発な意見は自走型組織には不可欠ですが、一部の人だけが活発に発言する状態は良くありません。特に上の役職の人が言いたいことを言っていると、それ以外の人は逆にどんどん黙っていきます。「こんなことを言うとだめだろうな」「部長と違う意見は言いにくい」などの遠慮が生まれるからです。

 

経営陣から見ると、一般社員の発言はレベルが低く映るかもしれません。しかし、そのレベルの低さを責めるのではなく「社員が自分から意見を言い始めた」ことを評価しなければ、いつまで経っても社員は言われたことしかやらない状態から抜けられません。

 

「この場はどんなことを言っても構わないし、みんながいったん聞いてくれて受け止めてくれる」という心理的な安全性が醸成されていることが質の高い対話には欠かせません。たとえ稚拙であっても、できる限り多くの人が自分の意見を表に出しやすく、経営陣もそれらの意見に耳を傾けることが自走型組織のベースになります。

経営者が潰す「組織変革」の芽

■組織変革のプロセス

 

いざ組織変革が始まるとチームがつくられ「誰が担当する?」「いつやる?」など、自分たちで決めることが数多く発生します。また自分の意見をうまく言えない、みんなの意見をうまくまとめられないなど、一般社員の稚拙さも露呈します。そして、それらが原因となり一時的に混乱し、パフォーマンスが落ちてしまうことがあります。

 

これをポジティブに受け止めるとチームが機能していくのですが、組織変革のプロセスを理解していないと経営者は「事態が悪化した」と思ってしまい、最悪の場合は社員の自発性をつぶそうとします。

 

現場の混乱をネガティブに取るか「チャレンジは失敗したが、前進したから壁にぶつかったのだ。ようやくここまで来てくれたか」とポジティブに取るかで、その後は大きく違ってきます。経営者は、社員たちが自発的になりかけたマインドと気づきを大切にすればいいのです。

 

自走し始めて一時的に混乱しても、社員が働いてくれることに素直に感謝する、社員の失敗を成長へのきっかけと受け止める、社員の喜びをわがことのように感じられる、顧客の笑顔が心からうれしく思える、社員が幸せな人生を送るために自分になにができるかを考える…このように経営者が自分自身も含めてポジティブに「前に進んでいる」と解釈できれば、組織変革は着実に進みます。

 

森田 満昭

株式会社ミライズ創研 代表取締役

 

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    ※本連載は、森田満昭氏の著書『社員が自ら考え、動く自走型組織の作り方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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    森田 満昭

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