(※写真はイメージです/PIXTA)

思い通りに動かないチームを前に、多くのリーダーは「いかに部下を動かすか」に執着するようになります。上司として、リーダーとして、部下を動かそう、チームをまとめようと、間違った努力を始めるダメなリーダーの共通点があるといいます。エグゼクティブコーチの大平信孝氏が著書『部下は動かすな。』(すばる舎)で明らかにします。

いきなり「ダメ出し」はやってはいけない

③「ダメ出し」中心のリーダーシップ


 
3つ目は、「ダメ出し」中心のコミュニケーションになっていることです。

 

なぜ「ダメ出し」がいけないのか?

 

それは、部下は「機械」ではなく、感情を持った「人間」だからです。

 

確かに、機械や物であれば、故障したり調子が悪くなったりしたら、原因を特定して修理すればよくなります。自転車の調子が悪くなったら、タイヤのパンクが原因ならパンクを直せばいいし、ブレーキの故障が原因ならブレーキを修理するか交換すればいいでしょう。

 

では「原因を指摘して、改善する」は、人間にも通用するのでしょうか?

 

立場を逆にして、考えてみましょう。

 

あなたにも上司がいるはずです。そして、あなたの上司からすれば、あなたの至らない点、改善点、惜しい点が目につくことがあるでしょう。

 

たとえば、あなたが上司と会話するたびに、

 

「あなたは締め切りや目標達成の見積もりが甘いですね」
「数字のケアレスミス、多いね」
「君は報告のタイミングが遅いね」
「コスト意識が低いのでは?」

 

などと、指摘されたらどうでしょうか。

 

最初のうちは、「次回から気をつけます!」「次から改善します!」となるかもしれません。でも、その「ダメ出し」が毎日、毎回延々と続いたらどうでしょうか。

 

・改善しても別のダメ出しが続くのなら、改善しても無駄かもしれない
・自分はこのポジションや仕事が向いていないのかもしれない
・自分のことが嫌いなのだろうか? だとしたら、いくら頑張っても無駄だ
・上司とできるだけ接触を避けたい。上司への報告・連絡・相談を最小限にしよう
・何をしてもダメ出ししかされないなら、最低限の仕事だけをしておこう

 

となってしまうと、職場は殺伐とした雰囲気になり、「成果を出すため」ではなく、「怒られないため」に労力を費やすことになります。

 

まずは、いきなり「ダメ出し」することをやめましょう。部下とのコミュニケーションは、「肯定」から始めるのが鉄則です。

 

部下の至らないところや改善点を指摘するのをやめると、「部下が育たない」「同じミスを繰り返す」と危惧されるかもしれません。

 

「ダメ出し」をすること自体が悪いのではありません。ポイントは順番と伝え方です。

 

部下との信頼関係ができ、目的、目標を共有できたあとにしましょう。

 

部下からの報告・連絡・相談を受けたら、「否定」から入らずに、「まずは受け止める」を実践してみてください。

 

また、部下に「できていないこと」があったとしても、それは「部下がダメ」なわけではありません。部下の「伸びしろ」を見つけたと解釈してください。

 

そして、部下に指摘するときは、必ず「できているところ」→「課題」の順番を守ってみてください。

 

大平信孝
株式会社アンカリング・イノベーション代表取締役

 

 

※本連載は、大平信孝氏の書籍『部下は動かすな。』(すばる舎)から一部を抜粋し、再編集したものです。

部下は動かすな。

部下は動かすな。

大平 信孝

すばる舎

「部下が動いてくれない」「部下が一向に成長しない」「怒っても褒めてもうまくいかない」「チームが全然まとまらない」「リーダーとしての自信がない」… このような悩みを抱えるリーダーのあなたは、なんとかして部下・チ…

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