教員の免許更新制度の廃止が決まりました。その決定の裏には、学校現場の悲惨な状況がありました。みていきましょう。
凄惨な学校現場…教師の病気による退職「ほとんどが精神疾患」という過酷

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教員の負担となっていた「免許更新制度」廃止へ

第1次安倍政権だった2007年、教員免許に10年の有効期限が設けられました。導入の理由は、教員の質を高めること。一度免許を取得すると、能力の向上が見られなくても教壇に立ち続けられることに対して疑問に声があがったのです。

 

しかし、免許更新の制度は現場の問題意識とは大きな乖離がありました。多忙な時期に多くの時間が割かれるうえ、費用的な負担も大きかったといいます。

 

そこで先月、免許更新制度の規定を削除を決定。今年7月1日以降に期限を迎える教員は、更新講習等の手続きが不要になります。更新制度廃止後も、教員の質を確保するために、教育委員会に個々の教員の研修受講履歴を義務付け、校長は個々の教員の能力に合わせて受講の研修を助言する、というような新しい研修制度を、来年度開始を目指して整えていくそうです。

 

学校現場では負担増から教員を志す人が減少し、「とにかく人手不足が深刻」という声があがっていました。今回の免許制度廃止が少しでも負担減につながること、そして新たな研修制度が同じ轍を踏まぬことを願うばかりです。

 

そもそも教師の負担については、文部科学省が実施した実態調査からも明らかにされていました。2021年5月の調査によると、5月1日時点で、小中学校の教師不足人数は1,701人で不足率は0.28%、高等学校では159人、不足率0.10%。同年の7月には教員不足は何とか解消されたといいますが、それまで小学校では担任でない職務の教師が学級担任を代替するなどの対応に迫られ、また中学校・高等学校のなかには、当該教科の教師がいないことで授業が行えずにいたケースもありました。

 

――新学期、新しいクラスにドキドキしていたら、教師が補充されるまで代わりの担任

 

教員の質にしても不足にしても、結局、影響をうけるのは子どもたち。教師不足の要因は、産休・育休取得者や特別支援学級数、病休者数が増加したことで、見込み数以上に必要教師数が増えたこと、としていますが、教員の質・数、ともに確保していけるよう、従来の制度・仕組みを抜本的に見直していくべき時期にきているのかもしれません。