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被相続人が若くして亡くなったとき、相続税の対策の一環で被相続人が孫を養子にしていたとき、被相続人の子が先に亡くなっていて孫が相続人になるとき……このようなケースでは未成年者が相続人になることがあります。未成年の相続人がいる場合の遺産分割協議の進め方についてみていきましょう。

未成年の相続人がいる場合の遺産分割協議書の作成方法

未成年の相続人がいるときは、遺産分割協議書の作成方法も通常の場合とは少し異なります。

 

遺産分割協議書には特別代理人が署名・押印

遺産分割協議の内容は、遺産分割協議書に記録します。遺産分割協議書は、銀行預金の名義変更手続きや不動産の相続手続きなどでも必要になります。

 

遺産分割協議書には、相続人全員が署名して印鑑登録した印鑑を押す必要があります。ただし、未成年の相続人については、相続人本人ではなく特別代理人が署名・押印します。

 

遺産分割協議書を家庭裁判所に認めてもらうには

特別代理人を選任するときは、家庭裁判所に遺産分割協議書の案を提出します。ここで遺産分割協議の内容が認められなければ特別代理人を立てられず、遺産分割の手続きが滞ってしまいます。相続手続きをスムーズに進めるためには、遺産分割協議書を家庭裁判所に認められるようなものにしておくことが重要です。

 

遺産分割協議書の内容が未成年の相続人にとって不利なものであれば、家庭裁判所に認められない可能性があります。遺産分割の比率を考えるときは、少なくとも法定相続分は未成年の相続人に与えるようにすることが理想です。

 

法定相続分は、相続人が母と子供2人の場合では、母は2分の1、子供は1人あたり4分の1となります。

 

■理由を明記して親権者が相続することもできる

遺産分割協議書を家庭裁判所に認めてもらうためには、法定相続分を未成年の相続人に与えることが理想ですが、必ずしもそのように遺産を分割できるとは限りません。

 

遺産が自宅の不動産しかない場合、子供に遺産を分け与えるために自宅を売却してしまっては、今後の家族の生活が立ち行かなくなってしまいます。また、子供の養育に必要なお金は実際には親が管理していくため、遺産をすべて親権者に相続させるほうが良い場合もあります。

 

このようなときは、遺産分割協議書や特別代理人選任申立書に「子供の養育費や生活費に充てるため便宜的に親権者に遺産を相続させる」といったような理由を明記します。未成年の相続人に不利な内容ではないことを示すと、家庭裁判所に認められやすくなります。

 

未成年がいる場合の遺産分割協議は専門家に相談を

未成年者は遺産分割協議をすることができないため、未成年の相続人には代理人を立てなければなりません。特に親と子がともに相続の当事者になっている場合は、第三者の特別代理人を立てなければなりません。未成年の相続人が二人以上いる場合は、その人数分の特別代理人が必要になります。

 

特別代理人を立てるには家庭裁判所への申立てが必要で、遺産分割の内容が未成年の相続人に不利なものでないことを家庭裁判所に認めてもらう必要もあります。

 

このように、未成年の相続人がいる場合は手続きが通常とは異なるだけでなく、家庭裁判所とのやりとりも必要になります。

 

また、相続税節税のために未成年の孫を養子とするケースもあります。基礎控除額が増加し相続税は下がりますが、遺産分割協議において一定割合を未成年者に相続させる必要が出てくるので、税額計算で損をしてしまうことも考えられます。

 

相続手続きをスムーズに進めるためには、相続問題に詳しい弁護士や司法書士に、相続税の対策で未成年者の養子縁組を考えている場合には相続税に詳しい税理士に早めに相談することをおすすめします。

 

 

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    本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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