(写真はイメージです/PIXTA)

多くの費用を要する不動産の売買においては、思い違いや伝達不足などを理由に、トラブルに発展するケースが後を絶ちません。本記事では、不動産法務に詳しいAuthense法律事務所の森田雅也弁護士が頻出事例をもとに、不動産売買におけるトラブル予防策を紹介していきます。

「契約」に関する不動産売買トラブル

不動産売買の契約についてのトラブルとしては、主に仲介手数料に関するものと、契約解除に関するものが挙げられます。それぞれ確認していきましょう。

 

①仲介手数料に関するトラブル

仲介手数料とは、不動産の売却や購入の仲介を依頼した場合に、不動産仲介会社に対して支払うべき料金です。仲介会社に不動産の売買を依頼する際には、仲介手数料など支払う必要のある料金の総額をあらかじめよく確認しておきましょう。

 

仲介手数料の上限額は、その不動産の売却価格ごとに、法令で次のように定められています。

 

200万円以下:売却価格(消費税額除外)×5%+消費税
200万円超え、400万円以下:売却価格(消費税額除外)×4%+消費税
400万円超え:売却価格(消費税額除外)×3%+消費税

 

なお、これはあくまでも上限であり、必ずしもこの報酬額を支払わなければならないわけではありません。しかし、あたかもこれを上限ではなく、法律で決まった報酬額であるかのように説明をする仲介業者も存在するため注意が必要です。

 

また、「コンサルタント料」など仲介手数料とは別の名目で、これとは別途の報酬を請求する不動産仲介会社もあるようです。しかし、名目がどうであれ、その実態が仲介についてのものである以上、上限額を超えた報酬を請求することはできません。

 

後からトラブルにならないよう、報酬に関しても書面できちんと取り決めをし、確認をしておきましょう。

 

②契約解除に関するトラブル

契約解除に関するトラブルも、不動産売買ではよくあるトラブルの一つです。なかでも、売買契約をする予定で話を進めていた買主が住宅ローンの審査に通らず、やむなく解除になる場合が存在します。

 

売買契約書には、ローンに関する特約を付すことが一般的です。ローンに関する特約とは、たとえば「ローン審査が通らなかった場合には、売買契約が白紙となる」といった内容のものを指します。

 

不動産取引を専門とする不動産仲介会社のサポートを受ける場合にはこのような条項が入っていることが一般的ですが、個人間で行う売買などでは条項に漏れがある場合もありますので、事前に弁護士へ相談してよく確認しておきましょう。

不動産売買でのトラブルを予防するためには?

不動産売買でのトラブルを避けるため、不動産の売却を検討する際には、次の予防策を講じることをおすすめします。

 

①きちんと契約書を交わす

1つめは、きちんと契約書を交わすことです。まったくの第三者との取引であれば、契約書はきちんと交わすことが一般的でしょう。

 

一方で、親しい相手などとの売買の場合には、契約書を交わさなかったり、よく内容を確認することなく契約を交わしてしまったりする場合もあるかと思います。

 

不動産売買では動く金額が大きいうえ、トラブルが起きる可能性はゼロではありません。たとえ親しい間柄であったとしても、必要な事項はきちんと取り決め、契約書を交わしておきましょう。

 

②不動産仲介業者に丸投げしない

不動産を売却する際には、仲介業者へ依頼する場合が大半です。しかし、仲介業者へ丸投げしたままという姿勢はおすすめできません。

 

大事な不動産の売却ですから、自分でも相場を調べるほか、定期的に現地を確認したり仲介業者へ進捗状況を確認したりして、積極的に関わっていくと良いでしょう。

 

③よくあるトラブル事例を知っておく

不動産に関するよくあるトラブルについては、国土交通省が制作している「不動産トラブル事例データベース」で公表されています。

 

こちらをよく確認のうえ、売却しようとしている物件ではどのようなトラブルが起きうるのか想定し、万が一の際の解決法をシミュレーションしておくと良いでしょう。

 

④早期に弁護士へ相談する

不動産売買がトラブルに発展しそうな場合には、早期に弁護士へ相談してください。トラブルの解決には、早期の対応が重要となるケースが少なくないためです。

 

無理に自分で対応をしてトラブルを広げてしまわないためにも、早期に不動産トラブルに詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。

 

 

 

森田 雅也

Authense法律事務所 弁護士

 

 

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本記事はAuthense不動産法務のブログ・コラムを転載したものです。

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