(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍で経営状況が悪化した企業も多いなか、所得税とは異なり赤字であっても納付義務が免除されることがない消費税は、中小企業経営者や個人事業主の悩みの種のひとつです。今回は、税理士法人グランサーズの共同代表である黒瀧泰介税理士が、消費税の特例について解説します。

個人事業主は「法人化」で消費税の申告額を抑える

法人成り

現在、個人事業主として、消費税納税対象になっている場合は、法人化することで消費税を抑えるという方法もあります。

 

法人設立後2年間は原則として消費税の納税義務が免除されます。つまり、法人成りすることで、2年間は消費税を0円にできます。

 

一方で、法人成りは、消費税負担だけを考えた場合は有利ですが、納税義務の免除は2年間に限られることや、法人化に必要な費用、その他税負担全体でみると必ずしも有利とは一概にはいえません。

 

法人成り後に適用される税目は、所得税から法人税等へ変わります。税制度や税率等も個人事業主とは異なっていて、事業の状況等によって有利不利が変わってきます。

 

もちろん、ケースによっては、消費税以外の税負担も含めて、大きな節税効果に繋がるケースもあるので、まだ検討したことがない方であれば、一度検討するだけの価値はあります。

インボイス制度の影響

2023年のインボイス制度導入にさきがけて2021年10月1日に、インボイス課税事業者登録が受付開始になりました。これは、1つ目の方法で紹介した免税事業者にとって影響がでる可能性がある制度です。

 

インボイス制度では、仕入税額控除、つまり仕入や経費など自社で支払った消費税分を除外するのに、登録した課税事業者のみが発行できるインボイスの保存が必須になります。つまり、インボイスの登録をせずに免税事業者のままでいると、取引先としては仕入税額控除を適用することができなくなります。

 

仕入税額控除を適用できなくなると、取引先の負担が大きくなるため、消費税分の値下げを要求されることは十分予想されます。また、経費処理の煩雑さを回避するために、仕入れ先を適格請求書発行事業者に限定する企業が出てくるかもしれません。結果、他の登録事業者に乗り換えられたり、新たな顧客が獲得できなくなったりする可能性があります。

 

現在、免税事業者であっても、取引先の状況によっては、あえて課税事業者を選択する必要が出てくるかもしれません。その場合も、簡易課税制度は引き続き有効ですので、簡易課税の方が有利な事業の場合は積極的に活用しましょう。

 

消費税は、本来利益になるものではありませんが、正しく制度を理解しておかないと、必要以上に支払いすぎることになったり、ビジネスチャンスを逃したりすることに繋がります。

 

ご自身のビジネスについて不安がある場合は、一度税理士に相談してみることをおすすめします。

 

【この記事を動画で見る】

 

消費税を大きく節税する3つのテクニック

 

 

黒瀧 泰介

税理士法人グランサーズ共同代表 公認会計士・税理士

 

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