決して景気は良くないのに、新築マンションの販売に関しては、「平均価格、過去最高を更新」というニュースが聞こえてきます。そんなマンション販売を引っ張っているのが、「夫婦どちらも高収入の共働き世帯」。しかしローンの組み方によっては大きなリスクを抱えているといいます。みていきましょう。
夫婦で年収2,000万円…羨望の「タワマン購入」の先に待つ、まさかの顛末

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新築マンション価格、バブル超え

――東京五輪が終われば、不動産価格は下がる

 

そのような話を聞いた人も多いでしょう。さらにコロナ禍という不測の事態に、地価は下落、ということもあり、「いよいよマイホームの買い時」と考えていたのに、どうも状況は違うようです。

 

動産経済研究所によると、2021年に全国で販売された新築マンションの価格は5,115万円で前年比2.9%の値上がり。初めて5,000万円の大台にのったといいます。「地価が下がっているなか、どうして?」と思うでしょうが、従来のように建築資材や人件費の上昇に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大により、リモートワークが広がった結果、全国的にマンション需要が高まったことに起因しているといいます。

 

地域ごとにみていくと、突出しているのは首都圏で6,260万円。関西圏でも4,562万円と過去3番目の価格。再開発により都心部でタワーマンションが増加している札幌圏に至っては、前年比28.3%増の5,026万円となっています。

 

地域ごとに見ると、首都圏は6260万円と、バブル景気の時期の1990年を超えて過去最高となったほか、近畿圏が4562万円と、過去3番目に高くなっています。

 

さらに1億円を超える、いわゆる「億ション」の販売戸数は2,760戸。前年比51.8増となりました。ちなみに2021年の販売最高額は「パークコート神宮北参道ザ タワー」(専有面積238.55㎡)の13億7,000万円だといいます。ここまで高いと、想像さえも難しくなります。

高額マンションの販売を牽引する「パワーカップル」

「バブル超え」という文字が踊る、昨今のマンションマーケット。億を超える物件を引っ張っているのは、常人とは異なる富裕層かといえば、そうではありません。近年、市場を引っ張っているのが「パワーカップル」と呼ばれる夫婦です。

 

「共働きで高収入で購買力がある」ということは共通し、その年収は夫婦ともに700万円とか、1,000万円とかさまざま。会社員世帯の上位層と考えて問題はないでしょう。ニッセイ基礎研究所で発表したレポートでは、夫婦ともに年収が700万円以上は、2016年には全国で25万世帯で全世帯の約0.5%、共働き世帯の1.8%だとしています。

 

このような夫婦が億ションを買う際、利用するのは多くがペアローン。住宅ローンの適正な返済比率(年間返済額÷額面年収)は20%以内とされています。仮に年収1,000万円の会社員の場合を考えましょう。

 

年収1,000万円であれば、月収は約65万円、手取りは45万円ほどの会社員です。返済率20%とすると、年間返済額200万円。この額以下であれば、適正だというわけです。

 

では適正の範囲で、どれほどの物件を購入できるか、考えてみましょう。「返済金利1%」「返済年数30年」「毎月の返済額200万円÷12ヵ月=約16万円」として考えていくと、借入可能額はおよそ5,000万円となります。

 

つまり、夫婦ともに同程度の年収があれば、単純計算で無理なく億ションが買えるということになります。