(写真はイメージです/PIXTA)

東京都心部Aクラスビルの空室率は、テレワークの普及など先行き不透明感が広がるなか上昇基調で推移し3%台に達した一方、成約賃料は2014年第4四半期の水準まで下落しました。本記事ではニッセイ基礎研究所の吉田資氏が、今後のオフィス需要を踏まえた東京都心部Aクラスビル市場の動向と見通しについて解説します。※本記事は、ニッセイ基礎研究所のレポートを転載したものです。

あなたにオススメのセミナー

    あなたにオススメのセミナー

      東京都心部Aクラスビル市場の見通し

      Aクラスビルの新規供給見通し

       

      三幸エステートの調査によれば、2022年の東京都心部での新規供給量は約6万坪となり、新規供給が多かった2020年(約20万坪)の約1/3に留まる見通しである。

       

      しかし、2023年は、港区虎ノ門地区で大規模ビルの竣工が複数棟予定されており、新規供給は再び約19万坪に達する。2024年は一旦落ち着くものの、2025年は品川駅周辺等で大規模開発が予定されており、新規供給量は約27万坪と、過去最高を上回る見通しである[図表17]。

       

      [図表17]東京都心部Aクラスビル新規供給見通し

       

      Aクラスビルの空室率および成約賃料の見通し

       

      新型コロナウィルスの感染拡大後も、人手不足の状況が継続している。また、オフィスワーカーの比率の高い産業では就業者の増加も確認できており、東京都心部の「オフィスワーカー数」が大幅に減少する懸念は小さい。

       

      また、「Well-being」など従業員にとって快適なオフィス環境を整備する取組みが継続するなか、「1席あたりオフィス面積」が大幅に縮小する懸念は小さい。

       

      一方、「在宅勤務」を中心とする勤務形態を導入する企業は増えており、オフィス出社率がコロナ禍以前の水準に戻る可能性は低い。また、「フリーアドレス」の導入が広がるなか、余裕のある座席数を確保する企業は減少すると考えられる。以上を鑑みると、今後のオフィス需要(オフィス利用面積)は力強さを欠くと見込む。

       

      そのため、今後5年間の空室率は上昇基調が継続すると予想する。特に、2023年と2025年は大量供給の影響を受けて空室率が上昇し、2026年には約6%となる見通しである[図表18]。

       

      (注)年推計は各年第4四半期の推計値を掲載。 (出所)実績値は三幸エステート・ニッセイ基礎研究所「オフィスレント・インデックス」将来見通しは「オフィスレント・インデックス」などをもとにニッセイ基礎研究所が推計
      [図表18]東京都心部Aクラスビルの空室率見通し (注)年推計は各年第4四半期の推計値を掲載。
      (出所)実績値は三幸エステート・ニッセイ基礎研究所「オフィスレント・インデックス」将来見通しは「オフィスレント・インデックス」などをもとにニッセイ基礎研究所が推計

       

      また、東京都心部Aクラスビルの成約賃料(2021 年=100)は、2022 年に「99」、2023年に「97」、2026 年に「94」と、緩やかな下落を見込む[図表19]。

       

      (注)年推計は各年第4四半期の推計値を掲載。 (出所)実績値は三幸エステート・ニッセイ基礎研究所「オフィスレント・インデックス」将来見通しは「オフィスレント・インデックス」などをもとにニッセイ基礎研究所が推計
      [図表19]東京都心部Aクラスビルの成約賃料見通し (注)年推計は各年第4四半期の推計値を掲載。
      (出所)実績値は三幸エステート・ニッセイ基礎研究所「オフィスレント・インデックス」将来見通しは「オフィスレント・インデックス」などをもとにニッセイ基礎研究所が推計

       

      ただし、ピーク(2019年末)対比では▲32%下落するものの、2013年の賃料水準を上回る見通しである。

       

       

      吉田 資
      ニッセイ基礎研究所

       

      【関連記事】

      税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

       

      恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

       

      親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

       

      「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると

      あなたにオススメのセミナー

        ※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
        ※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年2月21日に公開したレポートを転載したものです。

        人気記事ランキング

        • デイリー
        • 週間
        • 月間

        メルマガ会員登録者の
        ご案内

        メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

        メルマガ登録
        TOPへ