
年収1,000万円は、サラリーマンにとって一つの到達点といえます。とはいえ…。「高給取り」の実情を見ていきましょう。
手取り50万円「住みたい街」で豊かな暮らしはできるか
厚生労働省のレポート「令和2年賃金構造基本調査」によると、日本の「課長」職の平均給与(所定内給与額)は49万2200円(平均年齢48.6歳、平均勤続年数20.3年、平均所定内実労働時間167時間、超過実労働時間平均3時間)。手取りにすると月収約38万円。課長クラスでも年収1,000万円の壁は遠い。
年収1,000万円の場合、平均的な賞与、4ヵ月分をもらっているとすると、月給は62万5,000円ほど。手取りは50万円弱といったところか。
手取りの2割~3割程度を家賃に費やすとすると、支出できる金額は10万円~15万円ほど。『年収1,000万円超えプレイヤーが選んだ「住みたい街ランキング」』上位の街で該当する物件を見てみると、赤坂や六本木では30平米のワンルームマンションが並ぶ。
そのほか1LDKの物件なども検討範囲の金額で探すことができるが、やはり築古だったり、駅から遠かったりと難点が見受けられる。年収1,000万円超えプレイヤーの住みたい街では、単身者には申し分ない生活ができるといえるが、2人以上の世帯となるとなかなか厳しいかもしれない。
ちなみに、賃貸ではなく、持ち家で!と考えた場合。赤坂3LDKで見てみると、中古でも2億円はくだらない物件がちらほら……。年収1,000万円でも予算オーバーといえよう。
■年収1,000万円は損をしている?
日本のサラリーマンで、いわゆる平社員の平均給与(所定内給与額)は27万8,400円(平均年齢40.7歳、平均勤続年数10.2年、平均所定内実労働時間165時間、超過実労働時間平均11時間)。手当や賞与などを加味すると、平均年収は442万6,800円となる。
平均年収に比べればはるかに高給取りであることは間違いないが、日本は累進課税制度。年収1,000万円の場合、年間の手取り金額は720万円ほどとなる。ここから住宅ローンに子どもの教育費……と出費がかさめば、手残りはわずかになるだろう。
老後に向けた資産形成も叫ばれている昨今だが、「年収1,000万円超のお金持ち」たちの暮らしは、案外素朴なのかもしれない。