(写真はイメージです/PIXTA)

被相続人と同居をしていた家族などが、勝手に被相続人の財産を使ってしまう「相続財産の使い込み」。証拠がない場合、使い込んだ人が認めない限り、相続財産を取り戻すのは難しくなってしまうのですが、それでも対処できるケースも存在します。本記事では、Authense法律事務所の堅田勇気弁護士が、「相続放棄の使い込み」に関して、対処法や予防策を紹介します。

弁護士が教える「4つの使い込み対策」

相続財産の使い込みは立証が困難なケースも多く、争いが長期化する懸念もあります。

 

また、結果的に立証ができなかったり相手方が無資力となってしまったりすれば、使い込まれた相続財産を取り戻すこともできません。

 

そのため、次の方法を検討することにより、使い込みの予防をしておくと良いでしょう。

 

使い込み対策①:後見制度を活用する

認知症などで判断能力が衰えた場合は、使い込みを予防するために後見制度を利用することが考えられます。後見制度には「成年後見制度」と「任意後見制度」の2つが存在します。

 

〇成年後見制度

認知症などで判断能力が不十分となってしまった人を保護し、支援するための制度です。
家庭裁判所に選任された後見人が、本人である被後見人の財産を管理し保護します。後見人には家族が選任される場合も弁護士などの専門家が選任される場合もありますが、いずれも管理状況を家庭裁判所へ報告する義務があります。

 

〇任意後見制度

任意後見人となる方や将来その方に委任する事務の内容を公正証書による契約で事前に定めておき、その後実際に本人の判断能力が不十分になった際に、契約で定めた事務を任意後見人が行う制度です。

 

任意後見人には、本人が希望した相手を選任することができます。本人の判断能力が不十分となった場合には、さらに任意後見監督人が選任され、任意後見人による財産の管理状況がチェックされます。

 

いずれも財産の管理状況がチェックされる仕組みであるため、使い込みの予防が期待できます。

 

使い込み対策②:家族信託を活用する

家族信託とは、あらかじめ定めた信託契約に従って委任者である本人の財産を受託者が管理・運用していくものです。任意後見制度と比べて契約内容の自由度が高いメリットがある一方で、信託契約の締結などの際に比較的高額な費用がかかる点が難点といえます。

 

比較的資産が多い方や企業を経営している方、複数の賃貸物件を所有している方などは、利用を検討すると良いでしょう。

 

使い込み対策③:まとまったお金は定期預金などとする

通常、金融機関の規約によりキャッシュカードを口座名義人以外が利用することは禁じられています。

 

しかし、現実的にはキャッシュカードを持ち暗証番号を知っている人であればATMからの預金の引き出しはすることが可能です。

 

キャッシュカードはとても便利なものである一方で、これが預金の使い込みが起きる大きな原因となっているといえるでしょう。そのため、まとまった額のお金はATMの操作で引き出せる普通預金ではなく、窓口へ行かなければ解約ができない定期預金などとしておくことも、使い込みを防ぐ方法の一つです。

 

使い込み対策④:相続が起きたらすぐ金融機関に連絡

銀行口座は、金融機関が口座名義人の死亡を確認した時点で凍結されます。金融機関が口座名義人の死亡を知る方法はさまざまですが、一般的には遺族からの連絡で知るケースが多いといえるでしょう。

 

金融機関に死亡の連絡をしないままでいると、口座が動いたままとなり、その間にキャッシュカードを使って勝手に預金を引き出されてしまう可能性が高くなります。そのため、使い込みを防ぐためには、相続が起きたらすぐに金融機関へ連絡し、口座を凍結することをおすすめします。

 

 

Authense法律事務所

堅田 勇気

 

 

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