※画像はイメージです/PIXTA

令和3年12月に国税庁から「令和2年分相続税の申告事績の概要」と「令和2事務年度における相続税の調査等の状況」という資料が公開されました。この資料は毎年12月に国税庁が相続税の申告件数や税務調査の情報を公開しているものです。これらの資料から、コロナ禍における調査のトレンドと税理士関与の有無に応じた調査割合の推察をしていきます。

税理士が関与していない場合の調査割合は17.7%?

最後に、国税庁が公開しているデータを利用しながら、税理士が関与している場合と関与していない場合で調査となる割合が異なるのかを推測したいと思います。

 

データは少し古いものとなりますが、コロナ影響前のものを利用します。

 

◆コロナ前の調査割合

(H30調査件数)12,463件÷(H29申告件数)111,728件=11.2%

 

平成29年に亡くなられた方のうち、相続税の課税がある申告書は111,728件が提出されていました。平成29年に亡くなられた方の申告について、(実際にそのようなことはありませんが)全て翌事務年度で調査が行われたと仮定すると、平成30事務年度の調査件数は12,463件でしたので、その割合は11.2%になります。

 

しかし、筆者に11.2%という高い割合で調査が行われている感覚はありません。周りの相続税申告を専門に行っている税理士に聞いてもそれは同様で、遺産規模にもよるが平均すると2%~3%程度という声も耳にします。この割合は不明なのですが、税理士が関与している場合、全国平均より少し低い10%と仮定します。

 

税理士が関与している申告割合は財務省が公開しています。相続税の平成30年度(平成29年分の相続に係る申告書)は85.0%の申告において税理士が関与していました。つまり税理士が関与していない申告は全体の15.0%です。

 

◆税理士が関与していない申告の調査割合

① 申告件数(税理士関与なし) 111,728件×15%=16,759件

② 調査件数(税理士関与あり) 111,728件×85%×10%=9,496件

③ 調査件数(税理士関与なし) 12,463件-9,496件=2,967件

④ 調査割合 ③÷①=17.7%(推測)

 

税理士関与の調査割合を10%としても、上記のとおり税理士の関与がない場合の調査割合は17.7%(平均+6.5%)にもなります。また、相続税に手慣れている税理士とそうでない税理士によっても調査になる割合は異なると思われます。コロナ禍で調査件数自体は減少していますが、税理士に依頼するか、どのような税理士に依頼するかについては継続して慎重に判断をいただければと思います。

 

税理士法人ブライト相続
北川 聡司

 

 

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