定年を迎え、国民年金を受け取れる歳になっても支給額はごくわずか。終身雇用などは遠い昔の話となった現代社会において、老後の不安は誰でも降りかかる深刻な問題です。そこで我が身を守るには、どのような制度を利用して資産形成をすべきなのかという問題について考えていきましょう。本記事では、「個人型確定拠出年金」と「少額投資非課税制度」について解説します。
「個人型確定拠出年金」と「少額投資非課税制度」の特徴と違いを解説 (※写真はイメージです/PIXTA)

1.「個人型確定拠出年金(iDeCo)」と「少額投資非課税制度(NISA)」の共通点

「個人型確定拠出年金」と「少額投資非課税制度」は、それぞれiDeCoとNISAと呼ばれ、注目を集めています。

 

iDeCoは、20~65歳までの間、毎月5,000円以上(定額)を積み立てて投資運用し、その成果を60歳以降に受け取る「私的年金制度」のこと。

 

一方、NISAとは、株式や投資信託などの金融商品に投資をしたときに売却益が非課税になる制度。

 

通常はこれらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかりますが、NISA口座(非課税口座)内においては、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になります。

 

いずれも注目したいのは、非課税であるということ。

 

投資先選定の制限こそありますが、これまでは約20%もの高額な税金がかかっていただけに、それだけでも大きな魅力です。

 

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2.「個人型確定拠出年金(iDeCo)」と「少額投資非課税制度(NISA)」のメリット・デメリット

iDeCoとNISAにはメリットやデメリットがあり、それぞれの特性を知ったうえで運用する必要があります。

 

2.1.「iDeCo」のメリット・デメリット

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

iDeCoにおける最大のメリットは、毎月の拠金が「全額所得控除」になり、所得税と住民税が安くなるだけでなく、運用益も非課税になるということ。

 

つまり、iDeCoを利用するだけで確定申告をすれば、税金が安くなるだけでなく、そこで得られた収益に対しても非課税になります。

 

また、投資をするうえで初心者が悩みがちの「売り時・買い時」という問題が払拭されています。

 

最初に設定さえすれば、自動的に毎月積み立ててくれるので、手軽にできるのが特徴です。これなら、最低でも税金分の約20%は将来的に運用益として得られる、と考えていいでしょう。

 

ただし、デメリットも存在します。

 

原則として、年金だけに60歳までは引き出せません。そのあたりを理解したうえで利用しましょう。

 

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2.2.「つみたてNISA」と「一般NISA」のメリット・デメリット

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

もうひとつのNISAですが、これには大きく分けて2種類あることをまず知っておきましょう。「つみたてNISA」と「一般NISA」がそれです。

 

つみたてNISAとは、証券会社にもよりますが、月100円の少額から積立てをすることができます。それゆえ、誰でも手軽に始められます。

 

大きな特徴は、年間最大で40万円(月33,333円)まで投資でき、その運用益が最大20年間非課税になる点です。また、非課税投資総額は800万円です。

 

一方、一般NISAは、iDeCoやつみたてNISAと比べると、投資先に個別株、REIT、外国株などが加わります。また、投資額の上限も3倍になり、年間で最大120万円まで投資可能です。

 

 

もちろん、NISAにもデメリットは存在します。

 

どちらを選んだ場合でも、損益通算と繰越控除ができません。つまり、損した場合の税制優遇を受けられません。それゆえ、投資的な性格が強いといえます。

 

また、一般NISAは非課税期間が短く、最大5年。加えて、非課税総投資枠も600万円と、つみたてNISAに比べて200万円少ないのです。

 

さらに、売買のタイミングは自分で判断する必要があるため、初心者にはハードルがやや高いです。

 

短期間で大きく増やせる可能性こそありますが、このようなリスクがあることは知っておきましょう。

 

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まとめ

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

本記事で紹介した非課税制度は、もちろん組み合わせて利用することは可能です。

 

ただし、NISAどうしの組み合わせだけはできません。それゆえ、手堅く運用したい人は、iDeCoもしくはつみたてNISA、あるいは併用がおすすめです。

 

また、投資についてある程度の知識や経験がある人は、一般NISAかiDeCoを併用する方法も選択肢の一つです。

 

いずれにしても、自分に合った方法を選ぶことが、着実な資産形成につながります。

 

各制度の特徴をよく理解して、早めに老後資金対策を始めましょう。

 

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