(※写真はイメージです/PIXTA)

すべての企業は「体験企業」なのです。取扱商品や対象顧客の違いも関係ありません。ただ、顧客がいて、顧客が何らかの体験をする以上、それはもうすでに「体験ビジネス」なのです。ダグ・スティーブンス氏が著書『小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」』(プレジデント社)で解説します。

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      優れた顧客体験は細部にこだわった成果

      ところが、毎日世界中でブランド各社が店を開け、そこで来店客がどんな体験をするのかは、すべて成り行き任せになっている。どの店も、今からいったいどのような〝ショー.を客に見せるつもりなのか、おぼろげな理解だけで扉を開けているのだ。

       

      言ってみれば、店というのは、その気があろうがなかろうが、自社のブランドを見てもらうために、毎日何時間も生のCMを放映し続けているようなものである。最終的にはブランド認知や売り上げ、収益力を大きく左右するCMであるにもかかわらず、だ。しかも、そのCMの内容は誰も知らないときている。

       

      どのようなコンテンツもそうだが、消費者にブランドの何たるかを味わってもらう体験は、それなりの意図があり、入念な計画の下で、しっかりと企画に沿って制作されるのが常識である。シェイクスピアの『ハムレット』が単に言葉を適当に書き連ねて本に仕立て上げられたわけではないように、優れた体験も単なる素材や動きを適当に切り貼りして生み出されるわけではない。あなたのブランドが生み出す体験は、丁寧に作り込まれた舞台芸術と同じように扱わなければならない。

       

      アジアから北米、オーストラリア、アイスランドまで、顧客体験の調査・開発を数十年にわたって手がけてきた私は、優れた顧客体験づくりの匠の技を目の当たりにしてきた。そんな技のなかから、エッセンスを取り出していくつかの鉄則にまとめてみた。

       

      第1にして最も重要な鉄則は、優れた顧客体験は例外なく計画に沿ってつくられる。成り行き任せや解釈の余地は一切ない。第2に、優れた体験は、細部にとことんこだわった成果である。いわゆるカスタマージャーニー(顧客のブランド認知から購入に至るまでの行動プロセス)のどの瞬間も、細部に至るまでこと細かくマップに落とし込まれているのだ。

       

      体験のあらゆる面が明確な定義と設計に基づいている。優れた体験を生み出すブランドは、スタッフのトレーニングで、ゲスト対応に必要な手順を詳しく教え込むだけではない。ステップごとに練習やリハーサルを重ねながら、達人の域に達するまで、出来栄えに磨きをかけていくのだ。

       

      ダグ・スティーブンス
      小売コンサルタント

       

       

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        ※本連載は、ダグ・スティーブンス氏の著書『小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」』(プレジデント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

        小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」

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        ダグ・スティーブンス

        プレジデント社

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