(※画像はイメージです/PIXTA)

たとえ東大を出ていたとしても、地位や名誉より金のほうが大事だという考え方が主流になりつつあります。貧乏をしてまで夢や理想を追おうとする人も出てきません。どうすべきなのでしょうか。精神科医の和田秀樹氏が著書『孤独と上手につきあう9つの習慣』(大和書房)で解説します。

友達が少ないことは損をしているのか

■男性が家庭を変える

 

女性の方はこんなことを言われると、「世の中が悪くなったのを女性のせいにするのか!」と憤慨するかもしれませんね。もちろん、責任を女性になすりつけたいわけではありません。女性の選択も、世の流れを決める重要な要素のひとつだと言いたいだけです。

 

それでは男性の責任は何か。これまた私の勝手な意見ではありますが、男性はもっと家庭の舵取りをしっかりできるようになったほうがいい。

 

たとえば、ひとりで絵を描くのが好きな子がいるとします。同級生は休み時間になるとワーッと校庭に出て行って、みんなで一緒にサッカーやドッジボールをやったりするのに、その子だけはいつも教室でひとり黙々と絵を描いている。

 

そのとき、その子のよさを認めてあげられる親がどれだけいるでしょうか。別に悪いことをしているわけでもないのに、「みんなと一緒に遊びなさいよ」と子どもに強要してしまったりしないでしょうか。

 

あるいは、わが子が仲間外れにされている場合。オロオロして、「お前にもどこか悪いところがあるんじゃないか? それを直さないといけない」などと、子どもの性格を無理やり変えようとしてしまったりしないでしょうか。

 

親がよかれと思って口を出したとしても、それがすべて子どもにとっていいこととは限りません。性格は変えようがありませんから、無理に苦手部分を克服させようとするより、よい部分を伸ばしてあげたほうがいいのです。

 

とくに女性の場合、共感で生きる傾向が強いですから、「ウチの子、仲間外れになっているんじゃないかしら」と母親は心配して、必要以上に子どもの性格や考え方に介入しようとしがちです。女性は群れから外れることに敏感なのかもしれません。

 

しかしそんなときに父親まで一緒になって、「なんだ、おまえ仲間外れにされているのか」と焦っていては、その気がなくても子どもに「仲間外れにされる自分はダメな子どもなんだ」と伝えることになってしまいます。そんなときこそ、男性は子どもの性格を認めてどっしり構えていないといけません。

 

「損・得」の社会では、コミュ力が低い人や理想を追求しようとする人は、損をしているように見えます。弱い立場に立っているかのように錯覚させられます。友達が少ないというのも損をしているように見えます。

 

ですから、最近は男性であっても仲間外れを過剰に怖がる人が増えているというのは、ある意味しかたのないことかもしれません。

 

でも、本当は損をしているわけではないのです。

 

ただ気質の差、能力の違いがあるだけで、そこを理解して、自分のよさ、子どものよさを伸ばしていけば、損をすることにはならないのです。

 

拝金主義も損得勘定も、世の中をギスギスとしたものに変えてしまいます。

 

せめて家庭のなかだけはそうしたことにとらわれず、家族全員がのびのびと暮らせるような大らかさが欲しいものです。

 

両親のどちらかがオロオロしていたら、どちらかが家庭に安心感を与えなくてはいけません。家庭の舵取りが揺らぎがちなときには、特に男性はもっと責任を持ってそれを軌道修正するべきでしょう。

 

「弱さ」を見せることも、決して損をしているわけではないのです。

 

和田 秀樹

和田秀樹こころと体のクリニック 院長

 

 

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※本連載は精神科医である和田秀樹氏の著書『孤独と上手につきあう9つの習慣』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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