(※画像はイメージです/PIXTA)

たとえ東大を出ていたとしても、地位や名誉より金のほうが大事だという考え方が主流になりつつあります。貧乏をしてまで夢や理想を追おうとする人も出てきません。どうすべきなのでしょうか。精神科医の和田秀樹氏が著書『孤独と上手につきあう9つの習慣』(大和書房)で解説します。

「上手に相手に合わせられるほうが偉い」のか

■女性が世の中を変える

 

「貧乏人がバカを見る」というのは、極論すれば「お金さえ稼げれば、何をやってもいい」という社会です。本質を見抜く努力、自分自身に向き合う努力を放棄し、都合の悪いことは見ないようにする人、自分の利益になることであれば、人に不利益になることでも平気でやるような人を増やすことです。

 

同様の変化は、AO入試(総合型選抜)や観点別評価の導入によって、教育の現場にも生じています。AO入試のようにペーパーテスト以外の学力をみる入試は近年さらに増えています。


 
20年前には1.4パーセントにすぎなかったのに、いまや利用者数は受験生全体の約10パーセント(2019年度「大学入学者選抜関連基礎資料集」文部科学省)に上っています。

 

しかしこれは私に言わせれば、努力をしていなくてもハッタリが効けばいい、中身はないけれど表面的に合わせられる、という人が得をするシステムです。

 

観点別評価は、まさに「コミュ力」が問われる仕組みで、表面上、活発に見える子ども、教師に上手に話ができる子どもに、ペーパーテスト以外の「観点」による得点が与えられるのです。

 

テストで100点をとったとしても授業態度などで先生に気に入られていなければ評価は「4」で、80点しかとっていない生徒でも先生に気に入られていれば「5」の評価がもらえる。2022年度からは高校にもこの観点別評価が取り入れられることになっています。

 

つまり、「上手に相手に合わせられるほうが偉い」という風潮は、こうした学校教育によっても醸成されているわけです。

 

そうなると、頑張って勉強をするより、先生に取り入ったほうが得だという子どもたちがあらわれます。

 

これは私の勝手な意見ではありますが、こうした拝金主義、損得勘定の世の中を変えたければ、お金よりも志や名誉を大切にする男性のほうを、女性が選ぶようになるしかないと思います。

 

向上心が強い男性、アグレッシブな男性というのは、男性ホルモンが多い傾向がありますから、やはり女性が好きなのです。「何が一番モテるのか」が、行動の動機になる。

 

国境なき医師団に行った苦労人や、社会のためを考えて社会起業家になった貧乏な人よりも、短時間で稼ぐ金持ちがモテる社会であるかぎりは、男性の圧倒的大多数は拝金主義を選んでしまうでしょう。いうなれば、社会のありようは女性次第ということです。

 

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    ※本連載は精神科医である和田秀樹氏の著書『孤独と上手につきあう9つの習慣』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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