(※写真はイメージです/PIXTA)

最近、「靴下を履くのが辛い」と感じることはありませんか。実は、その状態を放置しておくと、やがて歩けなくなる危険もあると、世田谷人工関節・脊椎クリニックの塗山正宏院長はいいます。一体、どんな病気が隠れているのでしょうか。また、そうした自覚症状がある場合、どう対処したら良いのでしょうか。股関節の専門医が詳しく解説します。

変形性股関節症を予防するには「筋力訓練」が大切

変形性股関節症は、一旦発症すると慢性化して、少しずつ関節が変形していきます。そのため、変形性股関節症を発症したら、トイレを和式から洋式へ変更する、体重のコントロールを行うなど、股関節への負担を減らし、脚にやさしい生活習慣へ変えていくことが必要です。

 

一方、症状を進行させないために、適度に筋力訓練を取り入れることが大切です。股関節周辺には多くの筋肉が集まっていますが、特に、腸腰筋、中臀筋、大臀筋を鍛える運動が役立ちます。

 

すでに発症している場合だけでなく、予防にも良いので、日常生活の習慣として、お風呂上がりなどに行ってみましょう。

 

脚を屈曲させる「腸腰筋」を鍛えるには「脚の上げ下げ」

腸腰筋には、股関節を屈曲(脚や膝を持ち上げる)する働きがあります。そのため、この筋肉が衰えると屈むのが困難になり、靴下を履きづらくなったり、足の爪を切りにくくなったりします。

[図表2]腸腰筋(前面)
[図表2]前面

 

この腸腰筋を鍛えるには、次のトレーニングが役立ちます。両脚をまっすぐ伸ばして行うのが理想ですが、難しい場合は膝を軽く折り曲げても大丈夫です。

 

[図表3]脚の上げ下げ:仰向けに寝て、両手を体に沿わせる
[図表3]脚の上げ下げ:仰向けに寝て、両手を体に沿わせる。両脚を伸ばしたまま持ち上げ、床ギリギリまでおろす。再び脚を持ち上げる。

 

この上下運動を10回繰り返します。

 

歩行を安定させる「中臀筋」を鍛えるには「横向きで脚の上げ下げ」

中臀筋は股関節を外側に開く働きがある筋肉です。立ったまま、脚を真横に伸ばしてみましょう。

このとき、お尻の横にある筋肉がピリピリするのを感じるはずです。これが中臀筋です。

中臀筋が衰えると、歩く時の姿勢が安定せず、左右にブレるようになります。その結果、体のバランスが悪くなって股関節に歪みが出たり、痛みを生じたりすることがあります。

 

[図表4]背面
[図表4]背面

 

この中臀筋を鍛えるには、横向きで脚を上下する運動が適しています。お尻の筋肉が働いているのを感じながら行いましょう。

 

[図表5]横向きになり、手で体を支える。上の脚を伸ばしたまま持ち上げ、下ろす。
[図表5]横向きになり、手で体を支える。上の脚を伸ばしたまま持ち上げ、下ろす。

 

この動きを10回繰り返し、反対の脚も同様に行います。

 

股関節の動きをサポートする「大臀筋」を鍛えるには「ヒップアップ」

大臀筋は幅広く股関節の動きをサポートしています。日常生活でいえば大臀筋は、歩く時に後ろへ脚を蹴り出したり、前に踏み込んだりする時に大臀筋は働いています。

そのため、この筋肉が衰えると歩行が困難になり、また、股関節の可動域が狭まってしまいます。

 

[図表6]背面
[図表6]背面

 

この大臀筋を鍛えるには、「ヒップアップ」の運動が適しています。慣れないうちは辛いかもしれませんが、息を止めず、無理のない範囲で行いましょう。

 

[図表7]ヒップアップ運動:仰向けになって膝を曲げ、体の下で両手を組む。お尻をできるだけ高く持ち上げ、3〜5秒間キープする。この動きを10回行う。
[図表7]ヒップアップ運動:仰向けになって膝を曲げ、体の下で両手を組む。お尻をできるだけ高く持ち上げ、3〜5秒間キープする。この動きを10回行う。

 

こうした筋力訓練は、股関節に効果があるだけでなく、腹筋や背筋など体の他の部位にも良い刺激を与えます。ぜひ無理のない範囲で、毎日継続してみてください。

 

※筋力訓練を行う際の注意点

無理な運動はケガの原因になります。痛みや違和感がある場合はすぐに中止しましょう。

 

 

塗山 正宏

世田谷人工関節・脊椎クリニック

院長

 

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出典※1 変形性股関節症診療ガイドライン2016日本整形外科学会診療ガイドライン委員会、変形性股関節症診療ガイドライン策定委員会2016年5月
  ※2 わが国における運動器疾患の疫学研究大規模コホートROADSTUDYより
※本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『KARADAs』掲載の記事を転載したものです。