
株価を左右する要因にはさまざまなものがありますが、なにより大きいのは「景気動向」です。景気の波は上下するものであり、拡大し続けることも、悪化し続けることもありませんが、近年では、従来にないほど景気循環が長期化する傾向が見て取れます。今後株式投資するにあたっては、それを踏まえたうえでリスク要因の把握に努めることが必要です。
景気後退が始まっている
前述したように、2018年10月に第16循環の山を越えたと見られていて、景気後退が始まっていると思われる状態です。しかも、2020年は新型コロナウイルスが拡大した影響で、景気が大幅に落ち込みました。特に、2020年4~6月期は年率換算でGDPが前年比マイナス28.1%となり、戦後最悪となりました。
2022年1月上旬時点では、2020年の下げが大きすぎた反動や、ワクチンの接種がだいぶ進んではいることなどから、2020年よりは景気は持ち直しています。変異株による感染拡大の第5波は10月末時点で終息に近づきつつあり、緊急事態措置やまん延防止等の措置区域は9月末で全国的に解除されています。しかし、今後も感染の第6波の可能性もあり、まだまだ楽観を許さない状況です(現在は第6波が襲来しています)。
消費税増税の悪影響もあり得る
景気への悪影響となるもう1つの材料として、2019年10月に消費税が10%に引き上げられたことがあります。
消費税は1989年4月から税率3%で導入されました。その年は年末まで日経平均株価が上昇して史上最高値をつけましたが、翌年以降はバブルが崩壊して、株価が大幅に下落しました。また、1997年4月に消費税が5%に引き上げられましたが、株式市場は増税前の1996年6月から下落し始め、1998年10月頃まで下落トレンドが続き、日経平均株価はその時点でのバブル後最安値をつけました。
2014年4月に消費税が8%に引き上げられた時は、株式市場にはさほど影響は出ずに済みました。しかし、1989年と1997年には大きな影響が出ていることや、2022年1月上旬時点で新型コロナウイルスや東京オリンピックの影響があることも考えると、2019年10月の消費税増税も株価に悪影響を与えることになりそうです。
株価の大幅下落の恐れもなくはない
バブル崩壊以降の日経平均株価の動きを見ると、株価が下落し始めると、底を打つまでに大きく下がる傾向が見られます。特に、21世紀に入ってからは、日経平均株価は2003年4月に7603.76円、2008年10月に6994.90円まで下がったことがあり、下げ方が一段と厳しくなっています。「山高ければ谷深し」という相場格言がありますが、まさにその通りの動きをしています。
ちなみに、2003年4月に株価が底を打ったときには、その前の2001年9月11日に米国同時多発テロが起こり、10月からは米英などがアフガニスタンを攻撃して、アフガン戦争が起こっています。さらに、2003年3月19日から米英などが軍事介入してイラク戦争が起こり、1か月ほどで大規模戦闘が終結するという経過をたどりました。
また、2008年10月の底は、リーマンショック(2008年9月15日)の影響によるものです。
2022年1月上旬時点では、新型コロナウイルスの影響があります。新型コロナウイルスの問題が深刻化した2020年初頭の頃を見ると、日経平均株価は1月に2万4000円台まで上昇していたのに対し、3月には安値で1万6000円台まで急落しており、大きな影響が出ました。その後はリバウンドし、比較的短期間で2万円台を回復しましたが、今後、新たな変異株によってワクチンが効かなくなるといった事態が起こると、再度急落することも十分にあり得ると考えられます。
ファイナンシャルプランナー(CFP)、著述家、個人投資家
藤本 壱
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