2022年1月のレビュー
「優しさ忘れたFRB」との見方が強まる
最後に、2022年1月のレビューをしておきます。1月は、米連邦準備制度理事会(FRB)を中心にグローバルな引き締め観測が強まり、国債などの安全資産や株式などのリスク資産は全般に調整しました。
合わせて、オミクロン株の流行と、ウクライナとロシアに関する地政学リスクの高まりも大きな材料でした。後者の影響もあり、商品市況は全般に上昇しました。
このほかの出来事としては、
・欧州委員会が原発と天然ガスを「グリーンな投資先」として認定する方針(→一部のEU諸国が反発)
・2021年12月のFOMC議事要旨で「利上げ開始後のバランスシート縮小」が議論、
・雇用統計で失業率が3.9%に低下
・米地区連銀総裁が相次ぎ3月利上げの可能性に言及
・FRBが補完的レバレッジ比率の見直しを検討(→大手行が国債を再び保有しやすくなる可能性;金融抑圧のために必須)
・12月の米CPIが前年比7.0%に上昇
・中国の2021年10-12月期の実質GDP成長率が前年比4.0%に鈍化
・中国人民銀がローンプライムレートを2カ月連続で引き下げ
・米ネットフリックスの2021年10-12月期の会員数が会社予想に届かず
・米メタ・プラットフォームズの主力SNSフェイスブックの12月末時点の利用者数が3ヵ月前から減少(2月2日)
・米ワシントンDCの司法長官が米グーグルの位置情報収集に関して提訴(→他の3州も同様の訴訟)
・米エヌビディアが英アームの買収計画を取り下げるとの報道
・ユーロ圏の2021年12月の失業率が統計開始来の最低水準に(2月1日)
が挙げられます。
中銀の動きでは、ポーランド、ウルグアイ、アルゼンチン、ペルー、ルーマニア、韓国、ウクライナ、パラグアイ、カザフスタン、ハンガリー、チリ、南アフリカ、コロンビア、ブラジル(2月2日)、イギリス(3日)、チェコ(3日)がなど利上げを実施、シンガポールが引き締め(→為替レートの目標水準を引き上げ)、豪州が量的金融緩和を終了(2/1)が挙げられます。
重見 吉徳
フィデリティ投信株式会社
マクロストラテジスト
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