(※写真はイメージです/PIXTA)

利便性やステータスの観点から人気も高く、資産価値が高騰しているタワーマンション。しかし、都市開発にともなう乱立を背景に、23区内のタワマンが500棟を超える日も近いとされています。そのようななか、タワマンが内包する「自滅リスク」を回避できない物件は、今後価値が暴落する可能性があると、不動産鑑定士の三浦雅文氏は警鐘を鳴らします。タワマンの資産価値を左右する重要なファクターをみていきましょう。

タワマンの資産価値を揺るがす「自滅リスク」とは

その1.自然災害の影響

まず、浸水リスクがあります。近年、短時間豪雨が増えています。下水管が溢れる、道路が川になる可能性があります。

 

特に、電気などの主要設備や駐車場が建物の地下にありますので、駐車場出入口の浸水対策がきちんとなされているかが重要です。

 

次に、タワマンの生命線は電気です。電気が止まれば、エレベーターはもちろん多くの設備が使えなくなり、生活に大きな支障をおよぼします。

 

そして、液状化についてですが、タワマンは地上で見える建物の大きさ以上に地下が大きいので、敷地全体の液状化は少ないのではないかと考えます。

 

その2.外部オーナー(投資家)の割合

居住している所有者と投資目的の外部オーナーとでは、当然ながら理事会や総会への関心度(参加意識)が違ってきます。また、住宅部分と非住宅部分の割合によっても違ってきます。

 

賃借人の割合が多いと、マナーを守らない賃借人が増える、雰囲気を壊す店舗が入居する可能性も増える傾向があり、理事会へ「マナーを改善してほしい」という苦情がきます。

 

やはり、外部オーナーが少ないほど、資産価値は高く、逆に外部オーナーが多いと理事会等居住者の意見がまとまらず、管理に影響が出てくることから資産価値下落のリスクが増すでしょう。

 

その3.管理費や修繕費の高額化

気になるのは、マンションの管理費と修繕積立金の合計額が月額5万円を超えると市場価値が下がるのではないかという意見があることです。

 

高額出費のひとつに「大規模修繕工事」があり、建物の規模によっては10億円を超えます。建築後15年程度で行われる1回目の大規模修繕工事で「費用が足りない」ということはありません。新築時に一時金(長期修繕積立金)を支払っているからです。

 

問題は、現在の修繕積立金の金額を変えずに「2回目の大規模修繕工事を乗り切れるか」です。乗り切れないとすれば、修繕積立金の値上げや一時金の徴収がどこかで必要になります。

 

特に、タワマンは工事における足場設置費用が割高であることは確かです。各マンションで長期修繕計画を作成しているため、タワマンの購入を検討する際には一度確認しておくことをおすすめします。

 

次に、タワー特有の設備が割高です。例えば、高層建物用の高速エレベーターは、生産台数が他の機種と比べ少なく、1基億円単位ですし、メンテナンス費用にも割高感があります。

 

さらに、共用施設の利用度も注目すべき点です。特に、これはタワマンに限りませんが、空き駐車場の問題があります。駐車料金は管理費や修繕積立金へ充当され、無視できない金額です。しかし、近年、車離れが進んでいます。

 

また、車高の高いハイルーフ車や、幅の広い大型車のニーズはあるものの、高さ制限や車を乗せるパレット幅をワイド化できないなどの構造上の問題と費用の問題があります。

 

単純に駐車場使用料金を下げれば解決する問題ではないので、理事会を悩ませます。送付されてくる総会資料に目を通されることをおすすめします。

 

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