相続した「不要な土地」を手放せる…一見便利な「相続土地国庫帰属制度」の落とし穴【司法書士が解説】

相続した「不要な土地」を手放せる…一見便利な「相続土地国庫帰属制度」の落とし穴【司法書士が解説】

相続登記義務化によって、相続した土地はすべて登記しなければいけなくなった一方で、価値のない土地は相続したくない、手放したい、という人は少なくありません。そのような状況を改善するために「相続土地国庫帰属制度」が施行されます。ただし、この制度には気をつけなければならい点があると、永田町司法書士事務所の代表、加陽麻里布氏はいいます。「相続土地国庫帰属制度」の落とし穴にはまらないよう、注意点をみていきましょう。

相続登記申請の手間を省く! 新たな制度が施行

ここまで解説してきた通り、相続登記義務化と相続土地国庫帰属制度が施行されるものの、どちらも問題点があるといわざるを得ません。

 

問題点はあるものの、施行されることにより、長年放置された土地が動くことになるため、長期的に考えると、国の利益につながるのではないかといえます。所有者不明土地問題の解決もですが、新たな課税制度だともいえるためです。

 

そんな相続登記義務化に付随して、相続の手続きを申請しやすくするために、「所有不動産記録証明制度」や、「登録免許税の優遇制度」もあわせて施行されます。

 

被相続人の所有不動産がひと目でわかるように!「所有不動産記録証明制度」

「所有不動産記録証明制度」とは、法務局で保有している不動産の一覧表を取得できるようになります。

 

現在はこのような制度がないため、市町村役場で亡くなった人の名寄帳を取得して調べていますが、名寄帳には非課税の土地が出てこない場合があり、相続登記から漏れてしまう、という問題点がありました。

 

このような事態を避けるべく、法務局で一覧を管理し、相続人に交付することによって手続きを平易にする、「所有不動産記録証明制度」が創設されました。

 

登記費用が0円になる?「登録免許税の優遇制度」

「登録免許税の優遇制度」とは、先ほど解説した通り、相続登記を申請するには10万円、20万円といった費用がかかってしまいます。

 

この10万円20万円という費用を捻出することが厳しい方も少なくありません。

 

そのため、令和4年3月31日まで、一定の条件を満たすことによって、本来法務局に収めなければならない登録免許税を免除とする「免許税の優遇制度」が施行されています。

 

今後もこのような優遇制度が適用されていけば、「相続登記義務化で申請しなければならない、でもお金がかかるから難しい……」という問題は解決するかと思います。

 

これらのように、相続登記の申請がしやすくなるような法改正が、相続登記義務化の施行までにおこなわれる可能性があります。誰にとっても相続登記がしやすい制度が整備されることを期待しましょう。

 

 

<<相続登記義務化の注意点は? 司法書士が動画で解説>>

 

 

加陽 麻里布

永田町司法書士事務所

代表司法書士

 

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