「相続税が怖い!」…ヘタな対策で資産を減らす〈上級庶民〉の本末転倒 ※写真はイメージです/PIXTA

相続税の課税対象が広がったことにより、将来の相続税額に不安を覚える人が増えています。しかし実際には、本格的な相続対策が必要となるのはごく一部の富裕層で、たとえ課税対象者であっても、大きな心配はない人がほとんどなのです。むしろ警戒すべきは、不安をあおられて下手な対策をすることで発生する、余計な費用やリスクだといえます。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

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皆が心配する相続税だが、税率はそこまで高くない

「どんな金持ちでも3世代相続税を支払えば没落する」…。相続税にそんな厳しいイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。しかし、相続税は累進課税ですから、大金持ちには厳しくても、遺産が1億円や2億円程度の「上級庶民」には、それほど厳しくありません。まして庶民には無縁のものです。

 

相続税対策として、さまざまな商品を売りつけようという輩も少なくありませんが、自分の相続に不安があるのなら、まずはどれくらい相続税がかかるのかを知ることから始めましょう。相続税の計算方法は複雑ですが、おおよその金額を簡単に算出できるソフトがネットにありますので、各自の遺産額等を入力してみることをお勧めします。

 

たとえば、遺産が1億円、法定相続人が子ども2人と配偶者の場合の税額を計算してみると、316万円程度となります。配偶者がなく、子ども2人だけが法定相続人であった場合には、少し高くなりますが、それでも770万円程度です。

 

節税メリットを考える際には、限界税率を見る必要がありますが、それでも驚くほど高いわけではありませんし、特に配偶者がいる場合には原則として相続税が半額以下になりますから、節税メリットも限定的だといえるでしょう。

 

相続税は所得税などと比べると「優しい税」だと筆者は思っています。消費税を増税する前に相続税を増税すべきだとも思っていますが、その話は別の機会に。

 

ちなみに相続税は、法定相続分通りに相続されたと仮定して税額を計算し、それを実際の相続割合に応じて各人が納税するわけですが、その際に配偶者の相続分については、法定相続分までは相続税がかからないのです。この効果によって配偶者がいる場合といない場合の相続税額が大きく異なるというわけですね。

その相続対策、コストとリスクが大きすぎない?

相続税対策というと、生命保険や貸家が思い当たります。どちらも相続税の軽減には役立ちそうですが、生命保険はコストの高さ、貸家はリスクに要注意です。

 

相続税とは無縁な庶民が「相続税対策をしなければ」という思いから、生命保険や貸家に老後資金を注ぎ込むケースも多いと思われますし、相続税の課税される人であっても上級庶民程度の相続税率であれば、節税メリットが限定的であるため、リスクやコストのほうが大きい可能性もあります。その点は慎重に検討すべきでしょう。

 

生命保険は、保険会社の「隠れ手数料」が高い場合が多いので要注意です。加入して直ちに解約すると、戻るお金は払い込んだ額より少ないわけですが、その分は隠れ手数料というわけです。外貨建ての保険であれば、為替リスク(大幅な円高になるリスク等)にも要注意です。

 

貸家は、日本の人口減少が明らかなうえ、貸家へ入居する学生や新婚夫婦の数が確実に減っていくなか、空室や家賃下落のリスクが大きいことに要注意です。

 

「30年間家賃を保証します」といった契約をしてくれる企業もあるようですが、現在の家賃ではなく「その時々の周辺の家賃から考えて適正な家賃」という意味であれば、安心できませんね。

 

タワーマンションは、一時、取引価格と相続税評価額の乖離を相続税対策に応用する手法が話題となりましたが、国税が目を光らせるようになったほか、現在は金融緩和によってタワーマンションの価格が相当値上がりしていることからも、以前のような効果を狙うのは難しくなっているようです。

 

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経済評論家

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。2022年4月に定年退職し、現在は経済評論家。

著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』『大学の常識は、世間の非常識』(以上、祥伝社)など多数。

趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

連載老後資金の不安を解消!経済評論家・塚崎公義氏の「資産管理・資産形成術」

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