がん終末期の患者も笑顔に…「口内保湿」の絶大な効果【医師が解説】

がん終末期の患者も笑顔に…「口内保湿」の絶大な効果【医師が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

健康な人はもちろん、病気を患っている人、とくに在宅療養患者にとって、口のなかをきれいに保つこと、より良い状態にしていくことは、とても重要だと、医療法人あい友会理事長の野末睦氏はいいます。がんによる痛みや口臭に対する「口腔ケア」の絶大な効果とともに、多様な口腔ケアの方法についてみていきましょう。

専門的な口腔ケア「黒岩メソッド」の効果

口のなかが潤ったあと、歯茎のマッサージ、歯みがきなどを行い、一応の口腔ケアは終了です。このようなケアを受けた患者さんは、皆一様に笑顔になります。

 

うまくすると、鈍くなっていた味覚が戻ったり、唾液分泌が増えて、食欲さえも増したりするのです。そして、家族や介護士を含むいろいろな職種が協同できる「口腔ケア」に、さらに専門家が加わってくると、もう一段階進んだ「口腔ケア」を行うことができます。

 

たとえば歯科医師が関与できる場合は歯石除去、う歯(虫歯)の治療、義歯(入れ歯)の調整、動揺歯の抜歯などが行えるようになります。このことにより、口腔内の衛生状況がより改善し、さらには咀嚼機能が改善するので、食べ物の飲み込み機能も向上する可能性が出てきます。

 

さらにもうひとつ、かなり専門的ではありますが、多くの重症患者さんを救ってきた「黒岩メソッド」と呼ばれる口腔ケア法を簡単に紹介します。

 

神奈川県で開業している歯科医師、黒岩恭子医師が20年ほど前に開発し、全国行脚してその普及を図ってきた方法です。この方法は、口のなかを清潔にするだけではなく、その先の摂食嚥下をスムーズに行うことを目指したものです。

 

そのステップは、まずは姿勢を整え、両足の足底をしっかり床につけることから始めます。姿勢が整ったところで、全身の筋肉のリラックスを図るのですが、そのときには多くのバランスボールを使います。

 

紙屋克子看護師がリハビリ分野で開発した方法を、黒岩医師が「口腔ケア」の分野に持ち込みました。

 

全身の筋肉がリラックスして、姿勢も整えられた状態で、前半でお話した口腔内を保湿し、清潔にしていきます。

 

そして最後に、口蓋垂の奥側、中咽頭部の湿潤を図ったあと、特殊なブラシを使って、咽頭にこびりついた粘液、痰を取り除くのです。「咽頭ケア」と呼んでいますが、その部分のこびりついた汚れは、吸引では決して引くことはできないのです。この「咽頭ケア」をしっかり行うことができれば、誤嚥性肺炎も激減します。

 

まずは、入り口の「口腔ケア」を実践していただいて、少しでも、患者さんが楽になればそれにまさる喜びはありません。そして、その先の専門的な「口腔ケア」を実践している訪問診療クリニックを探して、受診していただくと、その大きな効果を実感することができます。「口腔ケア」は自宅療養のキーポイントなのです。

 

 

野末 睦

医療法人 あい友会

理事長

 

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