
サラリーマンや公務員が加入している厚生年金には、加入者へのさまざまな優遇措置やメリットがあります。非正規雇用者も一定の条件を満たせば加入可能であり、むしろ自ら加入条件をクリアするように働くなど、積極的な加入を強くお勧めします。具体的なメリットや加入条件の基本について、経済評論家の塚崎公義氏が解説します。
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非正規労働者も、働き方次第で厚生年金に加入できる
公的年金は2階建てで、1階部分は20歳から60歳までの居住者全員が加入する国民年金、2階部分はサラリーマン(男女を問わず、公務員等を含む、以下同様)が加入する厚生年金です。したがって、自営業者や失業者などは厚生年金には加入できません。
しかし非正規労働者は、働き方によってはサラリーマンと見なされ厚生年金に加入する場合と、見なされない場合があります。サラリーマンと見なされる条件は複雑ですが、大企業で週に20時間以上働くか、中小企業で週に30時間以上働く、といったイメージです。
筆者は「サラリーマンとみなされるように働き方を工夫して、厚生年金に加入することが望ましい」と考えています。各自の事情に応じて考えていきましょう。
ほぼ同額の保険料で、国民年金に厚生年金が加算される
独身の非正規労働者は、サラリーマンとみなされれば厚生年金に加入し、みなされなければ国民年金に加入します。国民年金の保険料は年間約20万円で、未払いがなければ老後は毎月6.5万円の国民年金(受け取るときは老齢基礎年金と呼ばれます)が受け取れます。
厚生年金に1年間加入すると、払う厚生年金保険料は年収(正確には標準報酬月額の12倍+標準賞与額の2倍)の9.15%となります。年収220万円あたりであれば、国民年金保険料とほぼ同額ですが、老後は国民年金に上乗せする形で厚生年金(報酬比例部分)が受け取れます。ちなみに、老後に毎年受け取る上乗せ部分の年金額は現役時代の年収の0.5481%です。
年収が上がると支払う年金保険料が上がりますが、老後に受け取れる年金も増えますから、保険料が国民年金保険料を上回った部分についても、年金を65歳から17年間受け取れば元がとれるという計算です。