「鰻を買ってきて」買い物の金額でケアマネが逆ギレした理由

相沢 光一
「鰻を買ってきて」買い物の金額でケアマネが逆ギレした理由
(※画像はイメージです/PIXTA)

サービス担当者会議はケアマネが作成したケアプランに組みこまれたサービス事業者が、利用者宅に集合して開かれます。その会議での言動から良いケアマネかダメなケアマネかがわかるといいます。相沢光一氏が著書『介護を左右する 頼れるケアマネ 問題なケアマネ』(河出書房新社)で解説します。

自分のミスを認めようとしないケアマネ

竹内さんも、こうした独善的なケアマネのもとで仕事をして、嫌な思いをしたことがたくさんあるといいます。

 

最近はこんなことがありました。利用者は79歳の男性で歩行が困難です。近所に住む長女の方が介護されているんですが、仕事の関係でいつ来られるかわからない。それで週に2回、ウチのヘルパーが買い物の生活援助をすることになったんです。

 

生活援助の買い物は、利用者さんから購入したいものをお聞きして行くのですが、買いすぎて家計を圧迫してはいけないので、通常、1回の買い物の上限額を決めておきます。そのときに必要な日用品や食料品ですから、だいたい1500円といったところです。

 

ただ、この方のサービス担当者会議はケアマネの独演会で進行したのですが、上限額についての言及はありませんでした。大きなお宅に住んでおられましたし、上限額を決めないのは経済的に余裕があるからかな、と思ったんです。

 

それでもしばらくは高価な買い物もなかったんですが、利用者さんが『鰻が食べたくなったから買ってきてください。それも国産の鰻』とおっしゃったんです。国産の鰻なら、それだけで2000円近くするじゃないですか。でも、行ったヘルパーは上限額が決められていなかったものですから、いわれたとおり買ってきて、その日の総額は3000円を超えたんです。

 

その数日後、ケアマネから電話がかかってきました。『領収書を見たんだけど、3000円を超える買い物って何なの?』と。私は『サービス担当者会議で上限額が決められていなかったので』と答えました。

 

ケアマネは受話器を置いて会議の議事録を確認しにいったようですが、当然、上限額は書かれていない。上限額を決めたつもりで決めていなかったのなら、ケアマネの責任ですから、『私のミスでした』という言葉が返ってくると思ったんですが、それどころか逆ギレして、『長年、訪問介護事業所をやっているんだから、会議で上限額を確認するのは常識でしょ。なんで勝手に判断するのよ。そんなことやっているようでは、あなたのところには頼めないわね』といわれました。

 

たしかに冷静に考えれば、確認しなかった私も悪い。でも、ケアマネのあの会議の進め方や発言の機会を与えない態度では、確認する気も起きないですよ」

 

このように、サービス事業者のやる気を失わせるケアマネがいるのです。つまり、頼れるケアマネか問題あるケアマネかをうかがい知ることができるのがサービス担当者会議。介護をつづけていくうえでの対応の仕方の参考になるので、会議のときのケアマネの言動はしっかり観察しておいたほうが良さそうです。

 

相沢 光一
フリーライター

 

 

 

※本連載は相沢光一著『介護を左右する 頼れるケアマネ 問題なケアマネ』(河出書房新社)より一部を抜粋、再編集したものです。登場するケアマネの方々、サービス事業者の方々のお名前は、すべて仮名です。

介護を左右する 頼れるケアマネ 問題なケアマネ

介護を左右する 頼れるケアマネ 問題なケアマネ

相沢 光一

河出書房新社

有能な人が担当になればラッキー。ところが、そうでない人だと…。介護サービスを受ける際の中心的な存在であるケアマネージャー。その良し悪しはどこで判断できるのか、「もっといい人を」と思ったら、どう対処すべきか。著者…

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