「薬物療法」使用される薬は…
薬物治療としては、血圧低下や頻脈に対して循環状態を改善させる「昇圧剤」が投与される場合があります。
また、抑うつ傾向があれば抗うつ薬、睡眠確保が困難であれば睡眠導入薬、めまい等に対しては漢方薬など、症状にあわせた様々な対応が実施されますが、必要最低限の処方で、中長期的には改善していくことが多いです。
軽症であれば半年程度での改善が見込まれますが、不登校が持続する中等症・重症の例では数年単位の長い治療期間を要する場合もあります。
成人しても「起立性調節障害」が続く理由
思春期が終わる18歳(高校3年生)のころには症状が軽減する傾向にありますが、重症度が高い場合、成人となっても自律神経のバランスを崩しやすい体質が残るため、症状が持続したり、あるいはストレスにより再発したりすることも十分にありえます。
成人となると、生活リズムの乱れや不規則勤務、飲酒などが契機となるため、症状が悪化するレベル(キャパシティ)を把握した上で、自己管理が重要となっていきます。
この疾患を理解していない方からは、「怠けている、さぼっている、性格がおかしい、精神疾患だ」と勘違いされることも多いです。そうした偏見から精神的に負担がかかることで、症状が悪化した例の診療もおこなってきました。
この疾患は、本人の意思が関わるものではありません。「疾患の特性を周囲の人へ話す機会を設ける」「環境を調整する」といった協力が、症状改善には重要であると、再度強調しておきます。
武井 智昭
高座渋谷つばさクリニック
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