(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資を始めてみたいと考えているサラリーマンの人は少なくないでしょう。不動産投資は基本的に「不動産賃貸業」であり、他人に生活の基盤である住居を提供して収入を得る「ビジネス」です。成功させるには、副業感覚ではなく「自分は不動産賃貸業を営む経営者なんだ」というマインドセットが欠かせません。アパートや賃貸マンションを持つ以上「知りません」「できません」では済まされない、トラブルの対処法について見ていきましょう。

③近隣トラブル(騒音・ごみ出しなど)について

■よほど自身のある大家以外は管理会社に相談したほうが吉

これは非常に多岐にわたり、かつ解決が難しいです。内容としては、次のようなものが代表的です。

 

●隣(上下)の部屋がうるさい

●入居者間でのトラブル

●ごみ出しマナー、特に不法投棄

 

特に入居者同士が揉めてしまうと、双方ともに管理会社に対して「あいつは迷惑だから追い出してほしい」とか、「自分にとって不利益なことを今後、絶対にしないように管理会社がなんとかしてほしい」と極めて感情的なオーダーが来ます。

 

気持ちは分からなくもないですが、基本的に管理会社はどちらの味方もできず、家主も同様なので、客観的な証拠を集めて折り合いをつけるよう促し、それでもだめならあとは官憲に委ねるほかにないというのが実際です。

 

ごみ置き場の不法投棄などは一度、費用をかければ確かにきれいになりますが、結局、住民間で「こういう捨て方をしてもいい」という考えが浸透していると際限なく再発します。なので、これはしつこく注意して是正を促すという方向になります。外国人の多い物件などでは、複数の言語で掲示物を作成するなどします。

 

トラブルは発生する都度、誰がどの程度の迷惑を被っていると思われるか、あとは対応の緊急性、そしてかけられる費用感と、できること・できないことの線引きについて判定を逐一行う必要があります。

 

ただ、この線引きが非常に難しいのが人と人、あるいは加害者が特定しにくい類のトラブルです。これは単純に場数がものをいいますので、よほど自信がある方でない限りは管理会社などの知恵を借りるほうがよいかと思われます。

 

もし自主管理を行っている場合だと、これらすべての問題を家主自らが対応することになります。そうなると、本業をもっている方の場合は相当対応が困難になります。仕事中だから電話に出られないというのは入居者からすると関係ない話なので、それで感情のもつれがより複雑化することもあります。

 

もちろん、自主管理のメリットは中間マージンをカットして経費の最小化を図ることですが、本当に自分は対応が可能かどうかご自身の状況を鑑みて、ご選択されるのがよいと思います。

 

■「家賃に対して5~10%の管理手数料」は意外と妥当

これは余談になりますが、自主管理オーナーの“あるある”として、出費をケチるために必要以上に入居者の要望を突っぱね続けていることが多い、というのがあります。当社でも何度かそういった物件を見てきましたが、たいていの場合、そういう物件では入居者がオーナーに対し、必要以上に感情的になっていることが多いです。

 

そして、その怒りは物件売買でオーナーチェンジをした際に新しい大家(買主)に対し爆発することもありがちです。

 

例えば、「エアコンの調子が悪いと前の大家にずっと依頼していたのに、結局替えてくれなかった」「賃料減額交渉をずっと無視されてきた。こっちはずっと住んでいるんだから少しぐらい融通を利かせてくれ」など、ある意味、新大家からしてみると「知ったこっちゃない」ことでも、入居者からするとずっと引きずってきた大問題なので、振込先変更の連絡をした段階でグワーッとすごい勢いで言われるわけです。

 

こういった衝突が大家対入居者の直接対決になってしまうと、解決が困難な問題の場合、抜き差しならない状態になってしまいます。

 

そんなとき、管理会社が中立な立場で間に入ることにより、大家側からすると不要な感情的な衝突を避けることができ、かつ経営判断として入居者に厳しいことを言わなくてはいけないときも、直接的に恨まれるリスクが下がります。管理会社をストレス軽減装置として考えた場合、世の中で一般的な家賃に対して5~10%の管理手数料というのは、決して悪くない数字なのかなとも思います。

 

 

穴澤 勇人

コスモバンク株式会社 代表取締役

 

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※本連載は、穴澤勇人氏の著書『融資上限は怖くない!税制と収益不動産をフル活用した資産形成』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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穴澤 勇人

幻冬舎メディアコンサルティング

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