資格によって明確な違いあるケアマネ
■以前の職種によって異なる「介護のとらえ方」
ところでケアマネの出身国家資格のうち残るふたつ、社会福祉士と精神保健福祉士の出身者はどのような傾向があるのでしょうか。ふたたびベテランケアマネによる解説です。
「社会福祉士は高齢者の介護だけでなく、医療や児童、障害者の福祉など社会福祉全般に精通していますから、その出身者は客観的な視点でケアを考えることができ、問題解決能力にも秀でていると思います。精神保健福祉士は精神障害者に対する相談や援助の実務を経験しています。弁が立ちますし、やはり問題解決能力がある。メンタルヘルスにも通じているので、悩みを抱える介護者にとっては良き相談相手になってくれるはずです。
ただ、両者にはウイークポイントもあります。介護現場での経験がなく、オムツ交換をしたことがない人が少なくないことです。つまり要介護者に対する細やかなスキルに欠ける面があるのです」
出身資格によって、こうした傾向の違いが出るのは仕方がないことです。しかし、本当は偏よることなく、バランスのとれた考え方ができるケアマネがいちばんいいとベテランケアマネはいいます。
「ケアマネは研修を受ける機会が多いんです。研修では数多くのケアマネと知り合いますし、そのなかには自分とは異なる国家資格出身者もいる。そうした人たちとケアに対する考え方や方法論を語り合い、良いものは取り入れるといった学びの姿勢をもっている人が良いケアマネといえるのではないでしょうか。中西所長のように、看護師の視点しかもたない人はダメなケアマネだと思います」
ともあれ、出身国家資格によって傾向の違いがあることはたしかです。担当ケアマネと話をするとき、何の国家資格をもっているのか、それとなく聞いてみるのも介護をつづけていくうえで参考になるはずです。
相沢 光一
フリーライター
※登場するケアマネの方々、サービス事業者の方々のお名前は、すべて仮名です。