(※写真はイメージです/PIXTA)

リーダーが問題解決策を考え、正しい指示を出すマネジメントはもはや限界を迎えています。チームパフォーマンスを発揮するにはメンバーの主体性を高めるマネジメントが必要不可欠ですが、単に指示を出すだけではメンバーの主体性は高まりません。これからのチームマネジメントにおいて重要なのは、チームメンバーの「力を活かす」ということ。今、チームリーダーが取るべき行動を見ていきましょう。

「情報の独占」はチーム力の発揮を妨げる足枷

そうはいってもガラス張りのマネジメントができるリーダーは少ないのが現実です。なぜかといえば、情報をもっていることは権力につながるからです。

 

例えば売り手と買い手がいて、売り手のほうしか原価や在庫数などを知り得ないとしたら売り手は圧倒的に有利になります。このように一方が相手より多くの情報をもっていることを情報の非対称性といいます。

 

インターネットが普及して売り手側が苦戦しているのは、買い手側もさまざまな情報をもつことが可能になり、情報の非対称性が崩れたからです。Webで調べれば競合他社の情報もすぐに集められ、簡単に比較できるので、状況はむしろ買い手に有利になっています。

 

リーダーとメンバーの関係でも情報を多くもっているほうが有利なのはいうまでもありません。そして、かつてリーダーはメンバーの知り得ない情報をもつことが権力関係の維持にも大きな影響を与えてきたのです。

 

しかしこのようなやり方はもはや通用しません。そもそもメンバーの力を借りるのに権力をもつのは逆効果です。あるべきなのはリーダーとメンバーの対等な関係性です。権力で言うことを聞かせるのではなく信頼でメンバーの力を引き出すべきなのです。「リーダーしか知らないことがたくさんある」と思われてしまったら、信頼関係を作るのは極めて困難です。

 

リーダーだけが現場の情報を知らない「裸の王様」になっているチームも存在します。この場合リーダー側から情報共有のハードルを下げる努力が必要です。「情報を共有してくれる」と感じさせ、「あの人は接しやすい」「うちのリーダーは話の分かる人だ」と認められることが肝心なのです。かといって下手に出て、メンバーにおもねる必要はありません。あくまでもチームのパフォーマンスを上げ、またリーダーとして良い意思決定をするために不可欠な、情報とメンバーの協力を得るために、認めてもらうということです。

 

自ら情報を開示し、一貫性のある行動をすることで信頼してもらえれば、自ずと情報も集まってきます。それをチームで共有するように工夫すれば、チームパフォーマンスは徐々に向上していきます。

今や、信頼関係をベースにチームマネジメントする時代

もはや昔のようにリーダーという地位があり、その地位に対してメンバーが敬意を払うという時代ではなくなりました。お互いに人間でありそれぞれをリスペクトし合うことで信頼関係が生まれ、その信頼関係をベースにマネジメントする時代に変わったのです。

 

そうなるとまずリーダーから歩み寄っていくことが重要です。今のリーダーにとって必要なことは、知らないことは知らないと言える勇気、助けてほしいときには助けてと言える勇気なのです。

 

例えばこのコロナ禍でオンライン会議システムが普及しました。打ち合わせだけでなく、商談やセミナーもオンラインで行うようになりました。なかにはツールをうまく使いこなせないリーダーもいました。そのような人たちは大きく2つに分かれたと思います。

 

一つは「こんなもので気持ちが伝わるか。営業はやはり対面でなければだめだ」と利用を拒否することです。もう一つは、自分自身は使い方がよく分からないながら、メンバーの意見を素直に聞いて、活用を推奨していったリーダーです。

 

コロナ禍が数ヵ月で終われば今までと変わらなかったかもしれませんが、1年以上続いたので前者と後者では大きな差がついてしまいました。もちろん優位に立ったのは後者です。

 

オンライン会議の普及で40代、50代のメンタル不調が増えているそうです。なんとなく仲間外れになっていると感じ、自分の価値が失墜したとさえ考えるとのことでした。

 

また失敗したら謝る勇気も必要です。以前は、リーダーは失敗が許されず失敗しても認めないリーダーがたくさんいたのです。今、ビジネスの世界では失敗を認めないこと自体がナンセンスになってきています。

 

なにしろ昔の経験が役に立たず、試行錯誤のなかで正解にたどり着かないといけない時代なので失敗しないということはありません。だからといって失敗は当たり前と開き直るのも周囲に与える印象が悪過ぎます。失敗したら謝って「こういうところがまずかった、申し訳ない」と言って、そこから学んで次に進めばいいのです。

 

 

橋本 竜也

株式会社日本経営  取締役

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    ※本連載は、橋本竜也氏の著書『チームパフォーマンスの科学』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

    TEAM PERFORMANCE チームパフォーマンスの科学

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    橋本 竜也

    幻冬舎メディアコンサルティング

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