(画像はイメージです/PIXTA)

会社経営者の男性が亡くなりました。相続人が資産の詳細を調べたところ、1億円の借入金と、借入金の連帯保証をしていたことが判明。経営者なきあと、この借入金はどうなるのでしょうか。長年にわたり相続案件を幅広く扱ってきた、高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

連帯保証債務は相続の対象なのか?

相続では、多額の遺産があれば、相続人はそれを相続することができます。

 

しかし、相続されるのはプラスの財産だけではありません。被相続人に借金があると、相続人は、借金も相続することとなってしまうのです。

 

たとえば、被相続人である太一さんが1億円の借金をしていたとします。すると、法定相続分に従い、借金は、妻である陽子さんに2分の1である5000万円、長男である太郎さんに4分の1である2500万円、長女である花子さんに4分の1である2500万円が相続されることとなるのです。

 

相続されるのは、借金だけでなく、連帯保証債務も同じです。

 

したがって、連帯保証債務は相続されないとする選択肢①は誤りです。

相続放棄するつもりなら、手続きは3ヵ月以内に

では、本件で、太一さんの相続人である太郎さんたちは、1億円の連対保証債務を免れる方法はないのでしょうか。

 

法律は、被相続人が借金等の負債を負っている場合、相続人が相続しなくてもよい制度を認めています。それが「相続放棄」です。

 

本件で、太郎さんたち相続人が相続放棄をすれば、会社の連帯保証債務を相続しなくてもすみます。

 

したがって、連帯保証債務は相続されるから、太郎さんたちは借入れを支払わなければならないとする選択肢②も誤りとなります。

 

そして、相続放棄をすれば、連帯保証債務を相続しないことができることから、選択肢③が正解となります。

 

相続放棄は、相続を知ってから3ヵ月以内に被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所に、相続放棄の申述書を提出することによってすることができます。

 

相続放棄は、相続を知ってから3ヵ月以内にしなければなりませんので、結構急いでする必要があります。

 

3ヵ月を経過してしまうと、相続を承認したとみなされ、借金等の負債を相続することとなってしまいます。

 

資産がどれくらいあって、負債がどれくらいあるか調査するのに時間がかかる場合があります。その場合には、3ヵ月以内に調査が終わらないという場合もあると思います。

 

そのときには、相続放棄をする期間の延長を家庭裁判所に延長を求めることができます。これを「熟慮期間の伸長」といいます。

 

熟慮期間の伸長は、3ヵ月が経過する前に裁判所に申請する必要がありますので、注意が必要です。

 

通常、裁判所は1回の伸長の申請で3ヵ月期間を延長してくれます。そして、それでも調査が終わらないなどの合理的な理由があれば、再度、延長をしてくれる場合もあります。

 

筆者の経験では、3回延長を申請し、1年くらい先に延ばしたことがあります。

 

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