(※写真はイメージです/PIXTA)

社会の超高齢化に伴って、今後、認知症有病者の増加は深刻な社会問題になっていきます。早期の発見・治療が重要ですが、「年のせいだから…」となかなか受診しないケースが多いようです。ここでは、家族が認知症かも?と思ったらまずどうすればよいのか、医療法人昭友会・埼玉森林病院院長、認知症専門医の磯野浩氏が解説していきます。

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    「必須とされていないのに、なぜ?」直接出向く理由

    「必須とされていないのに、なぜ?」と思われるかもしれませんが、あえて私が足を運ぶいちばんの理由は、そうするほうが圧倒的に、医療につながりやすいからです。これは私が20年間続けてきた、品川区での居宅訪問の実績から得た確信です。

     

    どんなに頑張って初期支援を行っても、受診が必要と判断された人が実際に医療機関へ足を運ばなければ、チームの成果とはいえません。

     

    それではどうしたら高い確率で受診してもらえるのか、と考えたときに、やはり「医師が直接出向く」のがいちばんであるということを、自分は品川時代の経験から身をもって分かっていたのです。

     

    顔見知りになれば、それまでは渋っていた人も病院へ来てくれるものです。

     

    家族が再三にわたり「病院へ行きましょう」と説得して首を縦にふらなかった人でも、私が出向いてしばらくお話ししたのち「せっかくお知り合いになったのですから、一度、健康診断にでも来てください。私が診ますから」と切り出すと、すんなりと応じてくれたケースは数えきれないほどあります。

     

    家族が本人に受診をすすめるときには、おうおうにして、「もの忘れがひどくなったから病院へ行きましょう」とか、「言っていることがおかしいから診てもらいましょう」などネガティブな言い方になりがちです。

     

    家族にしてみれば本当に起こっていることであり正直な気持ちからだとは思いますが、それで本人が自尊心を傷つけられ、意固地になって受診を拒む、ということはよくあります。

     

    しかし医師なら第三者ですし、医師が言うならと聞く耳をもってもらいやすいという面はあるのだと思います。「病院で待っていますよ」と目を見て語りかければ、「じゃあ……」と顔がほころびます。そこで私はすかさず手帳を広げ、「〇日の×時頃はいかがですか?」と受診日時を決めて、予約を入れるのです。

     

    現在関わっている滑川町やほかのエリアにおいて、私が居宅訪問して、それでもなお受診をしなかったというケースはほんの一握りであり、9割以上は受診してくれています。

     

    これにより「治り得る認知症」が見つかったケースもあります。このまま認知症が進行して介護がたいへんになるのでは……と不安に思っていた家族にとっては、治療で認知機能が回復するのですから、朗報以外のなにものでもありません。

    次ページ「うろうろしていて…」第三者から連絡が入るケースも

    ※本連載は、磯野浩氏の著書『認知症診断の不都合な真実』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

    認知症診断の不都合な真実

    認知症診断の不都合な真実

    磯野 浩

    幻冬舎メディアコンサルティング

    超高齢社会に突入した日本において、認知症はもはや国民病になりつつあります。そんななか、「認知症」という「誤診」の多発が問題視されています。 高齢者はさまざまな疾患を併せ持っているケースが多く、それらが関連しあ…

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