「おい、大木、テレビに利用されるなよ」…、ビビる大木が堺正章氏と話をした際にアドバイスを受けたといいます。長く芸能界で活躍してきた堺正章氏の経験に裏打ちされた鋭いひと言とは。ビビる大木氏が著書『ビビる大木、渋沢栄一を語る』(プレジデント社)で明かします。

堺正章の「テレビをもっと利用するんだ」

■僕の「常識」を変えてくれた、堺正章さんの言葉

 

渋沢さんが生き様で教えているように、常識は社会で生きていくときに必要な力です。

 

「では、常識とはどんなことでしょうか」と渋沢さんに問いかけると、答えてくれました。

 

「常識とは、何かしようとするときには、極端に走らず、頑固ではなく、善悪を見分け、プラス面とマイナス面に敏感で、言葉や行動がすべて中庸にかなうものこそ、常識なのだと思う。別の言葉で説明すると、『知恵、情愛、意志』になる。この三つの言葉がそれぞれバランスを保って、均等に成長したものが完全な常識である。一般的な人情に通じて、世間の考え方を理解し、物事をうまく処理できる能力が、常識である」

 

僕はわりとずっとテレビに出続けていますが、僕のようなポジションで考えると、「良くも悪くも使い勝手がいい芸人」ということが求められているのかなと思います。僕は呼ばれた番組のメンバーを見て、内容を見て、「ああ、自分が座る椅子はここかな」と言われる前に見えてきます。

 

番組によっては、そういう説明がないときもあります。「自分で察して、自分の仕事をしてくださいね」ということもあります。番組スタッフの方の中には、「察してやってくれるから楽だよ、大木さんを呼ぶと」と言ってくれるスタッフの方もいます。

 

こうした僕のスタンスが良いか悪いかですが、「良いふうになるときもあれば、良くないときもあるな」と思っています。

 

あるとき、堺正章さんとお話しした際にアドバイスを受けたことがあります。

 

堺さんは、「おい、大木、テレビに利用されるなよ」と言われました。「どういうことですか?」と聞くと、「テレビをもっと利用するんだ。敵じゃないけれども、向こうも利用してくるのだから、こっちも利用しなきゃダメだ」と言うのです。

 

「ああ、なるほど……」と思いました。僕はそれまで言われたことをやっていれば間違いないし、言われたことをやっていれば怒られることはないと思っていました。でも、もう1回、そこを壊せという話でした。

 

堺さんは、「そのスタンスでテレビに出続けていたら、おまえ、この先が続かないだろう」とも言われました。テレビに出演する際に僕が「常識」だと思っていたことを、根本から考え直すきっかけとなる言葉でした。

 

僕を見ていて、「おまえ、テレビに利用されているだけだぞ。今はいいけれど、5年後、10年後、そのスタイルでどうだ?」と教えてくれたのかなと思います。長く芸能界で生きて来られた方は、経験に裏打ちされた鋭いお話を聞かせてくれます。

 

僕は今、堺さんに指摘されたことを、つまりは僕のテレビ出演についての「常識」に修正を加えようと、試行錯誤の毎日を過ごしているところです。

 

ビビる大木

 

 

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    ※本連載は、ビビる大木氏の著書『ビビる大木、渋沢栄一を語る』(プレジデント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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