(※写真はイメージです/PIXTA)

既存タクシー業界への「破壊的イノベーション」のはずだった、ライドシェア。しかしコロナ禍も加わり、本国である米国でも赤字事業から抜け出せていない。国際投資アナリストが著書『最強の外資系資産運用術』(日本橋出版、2021年4月刊)で解説します。

ライドシェア事業は拡大期から統合期に突入

総合的に見ると、ソフトの面で海外のアプリサービス自体が現地化するのはそもそもハードルが高い(加えて本国の海外進出に対するマインドセットの問題もあるでしょうし)、ということから、一定程度の市場規模を望むとなると、やはり米国や中国、インドなど国内市場で勝てるローカルソフトに限るのかもしれません。

 

個人的には、ライドシェアという人間の移動にフォーカスしている、大きな市場規模の事業でさえ、米国でも継続的に収益を上げていけない、というのはかなり前途多難だな、と感じております。

 

一方でその道のエクスパートに頼めば?と考えてみると、ライドシェアにおいては、所謂タクシー業界やタクシードライバーに結局頼んでみたら?という意味になるかと思います。そういう脈絡で行くと日本の場合、白タク規制という背景から、ソフト(アプリ)によるタクシー配車ビジネスが拡大してもよいはずなのですが、実は既に拡大期から、統合期に入っております。

 

顕著な例として、DeNA傘下であったMOVは赤字事業であったこともあり、日本交通のJapanTaxi とコロナショックが出る前の2020年年初に統合を発表しました。また追い打ちをかけるようにコロナ禍にて、移動ニーズが著しく低下し、ロイヤルリムジングループのような、タクシー会社の破綻が見られました。

 

このライドシェアや配車アプリの一連の流れから感じることは、海外市場で必ずしも恒常的に利益を出し続けられていないビジネス、またイノベーションのあるビジネスが、日本に上陸し、結果を出すまでにはかなり時間がかかるという事実に加えて、餅は餅屋に頼みながらも業態変化を日本国内の業態内から自助努力以上の強い力で起こしていかないと、ただ単に縮小均衡の国内市場をかじっているに過ぎないのではないか、と感じております。
 

後藤康之
日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
国際公認投資アナリスト(CIIA)

 

 

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    ※本連載は、後藤康之氏の著書『最強の外資系資産運用術』(日本橋出版、2021年4月刊)より一部を抜粋・再編集したものです。

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