(※写真はイメージです/PIXTA)

飲食店経営と株式投資で億単位の資産を築いた男性。妻に先立たれ、子もないことから、実弟とその息子である甥の2人と養子縁組をしました。しかし、資産は現金の割合が大きく、このままでは多額の相続税が課税されてしまいます。ところが、男性には認知症の兆候が見えはじめ…。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに、生前対策について解説します。

資産の組み換え作業には「本人の意思判断能力」が必須

ここで、もっとも注意が必要なポイントがあります。上記のような不動産売買は、成年後見人が選任される前に、本人自らが行わないと、売却・購入手続きに時間がかかってしまう、あるいは売買そのものができなくなるという点です。功さんに成年後見人がつけば、功さんの意思だけでは不動産の売却ができなくなるため、早い段階で結論を出すことが重要です。

 

遠藤さんからは民事信託の組成についても質問がありましたが、それには、関係者全員で話し合いをしたり、専用の銀行口座のことを設定したりと、手続きの完了までかなりの時間を要することになります。作業を進めている間に功さんの意思判断能力がなくなるリスクもあるため、今回のケースでは、民事信託はお勧めしませんでした。

 

「自分と父親が伯父の養子になれば、節税対策はOKだと思っていました…」

 

遠藤さんはぽつりとつぶやきました。

 

遠藤さんはその後、東京にある不動産会社から、都内の収益物件を購入しました。現金で一括購入したことにより、相続税額も1,000万円強の見込みとなり、大幅な節税が実現でそうです。

 

「相続は本当にむずかしいですね。高をくくっていると痛い目に遭ってしまうということが、よくわかりました。意見をいただけてよかったです」

 

手続き完了の際、事務所にいらした遠藤さんは、安堵の表情を見せてくれました。

 

 

曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

 

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本記事は、株式会社夢相続のサイト掲載された事例を転載・再編集したものです。

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