2022年の税制改正による住宅ローン契約者への影響

住宅ローン減税から得られる経済メリットの最大化問題について

2022年の税制改正による住宅ローン契約者への影響
(写真はイメージです/PIXTA)

本記事では、ニッセイ基礎研究所の福本勇樹氏が2022年の税制改正に伴って住宅ローンの新規契約者の経済メリットがどの程度変わるのか解説します。 ※本記事は、ニッセイ基礎研究所の不動産に関するレポートを転載したものです。

まとめ

本稿では、2022年の税制改正に伴って住宅ローンの新規契約者の経済メリットがどの程度変わるのか、ブレークイーブン・ポイントとなる借入額や経済メリットを最大化する借入額を算出することで確認した。

 

2021年末時点の首都圏の新築マンションの価格は6,100万円台となっており、この価格水準に対して、不動産価格分をすべて住宅ローンで借り入れたとしても、変動金利型住宅ローンの適用金利が0.7%よりも低い水準にある限りにおいては、税制改正後の住宅ローン減税においても経済メリットを享受することができる。今後も、住宅購入者にとって住宅ローン減税は経済的に有利な制度であると言える。
※ 住友不動産販売HP「新築中古マンション市場動向(2021年11月)」を参考にした

 

しかしながら、控除期間終了後の利息支払額も小さくなる効果を踏まえると、住宅ローンの借入額をできる限り小さくした方がよいだろう。少なくとも控除期間が終了すれば、繰り上げ返済も積極的に進めた方がいいのかもしれない。

 

例えば、新築のその他住宅を購入して、最適解である3,448万円を住宅ローンとして借り入れて、当初13年間は適用利率が0.4%で一定で推移した場合、経済メリットの総額は103万円程度になると先ほど言及した。

 

その後14年目に0.5%程度の適用利率の上昇が生じて一定で推移すると、35年間の借入期間が終了するまでに利息支払額の負担は129万円増える。つまり住宅ローン減税から得られる経済メリットはその後の0.5%程度の金利上昇によって消失してしまう程度のものである。

 

このように、変動金利型住宅ローンで借り入れる場合には、将来の金利変動に晒されることを考慮に入れる必要がある。住宅ローン減税から得られる経済メリットを追求するだけでなく、住宅ローンの一部を固定金利型の住宅ローンで借り入れる(ミックスローンの活用)、預貯金を積み立てるなどしてリスクバッファを確保するなどの対応策も合わせて検討していく必要があるものと思われる


 ※  詳しくは「変動金利型と固定金利型のどちらの住宅ローンを選択すべきか-市場動向から最適な住宅ローンの借入戦略について考える」(ニッセイ基礎研究所、2021年11月20日)などを参照されたい。

 

 

福本 勇樹

ニッセイ基礎研究所

 

 

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本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年1月18日に公開したレポートを転載したものです。

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