2022年の税制改正による住宅ローン契約者への影響

住宅ローン減税から得られる経済メリットの最大化問題について

2022年の税制改正による住宅ローン契約者への影響
(写真はイメージです/PIXTA)

本記事では、ニッセイ基礎研究所の福本勇樹氏が2022年の税制改正に伴って住宅ローンの新規契約者の経済メリットがどの程度変わるのか解説します。 ※本記事は、ニッセイ基礎研究所の不動産に関するレポートを転載したものです。

住宅ローン減税から得られる経済メリットを最大化する借入額の水準

2022年以降、住宅ローン減税から経済メリットを得るには、[図表4]で示した借入額のブレークイーブン・ポイントよりも少なく借り入れるべきだと説明した。次に、利息支払額の合計と所得控除額の合計の差額を経済メリットとした上で、最も経済メリットが大きくなる住宅ローン借入額を計算してみたい。

 

[図表5]は変動金利型住宅ローンの適用金利が0.4%の場合に、新築のその他の住宅を購入する際に控除期間13年間で所得控除額と利息支払額の差分の合計値が最も大きくなるように借入額を決定したときの利息支払額と所得控除額の推移を示したものである
※ 確定申告による所得控除の還付は年1回だが、毎月ある前提で簡易的に算出した

 

[図表5]経済メリットを最大化したときの利息支払額と所得控除額の推移
[図表5]経済メリットを最大化したときの利息支払額と所得控除額の推移

 

このとき借入額は3,448万円で経済メリットは約103万円となる。興味深いのは、このシナリオに基づくと最大控除額(21万円)を享受するのは当初の5年間にとどまっており、最大控除額を13年間ずっと得るのが決して最適とは言えないということである。

 

つまり、3,448万円以上住宅ローンの借入額を増やすと、所得控除額が増える効果よりも利息支払額が増える効果の方が大きくなるため、経済メリットは徐々に小さくなってしまう。

 

借入限度額と適用金利変化させたときの経済メリットを最大化する住宅ローン借入額については[図表6]に示している。経済メリットを最大化する借入額は、適用金利が0.3%台にならない限りにおいて借入限度額よりも1,000万円以上高くなることはないことが分かる。

 

[図表6]税制改正後の適用金利に対する経済メリットが最大化する住宅ローン借入額の変化
[図表6]税制改正後の適用金利に対する経済メリットが最大化する住宅ローン借入額の変化

 

ここから、借入限度額や適用金利の水準に関係なく、住宅ローン減税から得られる経済メリットを追求する場合、控除期間全体にわたって最大控除額が得られるような形で、借入限度額を大きく上回る住宅ローンを借り入れる必要はないと結論付けられる。

 

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    本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
    ※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年1月18日に公開したレポートを転載したものです。

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