(※画像はイメージです/PIXTA)

ホテルや旅館に宿泊する際には、必ず「宿泊契約」が締結されていますが、契約書を交わすわけでもなく、意識することなく、いつの間にか成立しているというのが実際のところです。宿泊経験がある人ならだれもが締結しているこの契約について、ホテル・旅館業を専門に扱う弁護士の佐山洸二郎氏が、専門家の見地から興味深く解説します。

宿泊契約が成立したら「宿泊約款を守る義務」が生じる

さて、宿泊契約が成立したその先はどうなるのでしょうか。

 

ほぼすべてのホテル・旅館には「宿泊約款」というルールがあります。この宿泊約款に記載されている内容をルールとして、宿泊客とホテル・旅館側での宿泊契約が成立します。

 

ホテル・旅館側は当然ながら、宿泊客を宿泊させる義務が生じます。宿泊客側はキャンセル料も含め、宿泊代金を支払う「義務」が生じます。ただし、宿泊約款にはキャンセル料に関する要綱も記載されていることがほとんどであり、宿泊客の立場から、その点にもきちんと目を通しておくことをお勧めします。ちなみにこのルールは、国がきちんとモデルを出しております。また、宿泊施設側で勝手におかしなことを書けないルール作りがされています。

 

「義務」というと、これまた堅苦しいイメージを持たれるかもしれませんが、「宿泊約款」に基づいた宿泊契約というのは、「契約」や「義務」という言葉で表わされてはいるものの、根本的には「すべてのお客様が快適に過ごすためのルール」という意味合いです。

 

どういったことかというと、宿泊約款には「ほかの宿泊者に迷惑をかける行為を禁止する」といったことが書かれていますが、よくよく目を通せば、書かれている内容は本当に当たり前のことばかりです。例をあげるなら、「禁煙ルームで喫煙しない」「テレビを大音量にしない」「大騒ぎしない」といったものがほとんどです。

 

正直なところ「こんなの当たり前でしょう?」と思ってしまいますが、実際に禁煙ルームで喫煙する人もいますし、大騒ぎする人もいるのです。

 

禁煙ルームで喫煙されて壁にタバコの臭いがつけば、クリーニングが必要になるといった損害も発生しますし、大声騒げばほかの宿泊客の迷惑になります。筆者もこれらにまつわる相談を受けることがあります。

 

こういったルールを順守してもらい、すべてのお客が快適に過ごせるようにするというのが、宿泊約款なのです。「ルールを守るように強制される」というのではなく、むしろ逆に「自分が快適に過ごすために必要な決まりごと」です。

 

ホテル・旅館側ではほとんどの場合、ホームページ上もしくは客室で宿泊約款を公表しており、だれもが見られるようになっています。それらの宿泊約款に、一度じっくりと目を通してみるだけでも、面白い発見があるかもしれません。

 

 

佐山 洸二郎

弁護士法人横浜パートナー法律事務所

 

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