(※画像はイメージです/PIXTA)

ただでさえややこしい相続手続き。国をまたいだ相続が発生すると、「どちらの国の法律に準拠すれば?」といった疑問が湧き出ます。本記事では、日本と韓国の相続手続きについて見ていきましょう。日本経営ウィル税理士法人の顧問税理士・親泊伸明氏が解説していきます。

兄弟姉妹がいても…配偶者が「1分の1」相続するケース

事例③

相続人:配偶者と兄弟姉妹[家系図③]
 

[家系図③]

 

【日本民法の場合】

 配偶者:4分の3

 兄A :4分の1

●計算方法

 配偶者に4分の3の相続分、残りの4分の1を兄Aが取得することになります。

 

【韓国民法の場合】

 配偶者:1分の1

●計算方法

 韓国では配偶者が生存している場合、兄弟姉妹は相続人にはならず、配偶者の単独相続となります。

 

事例④

代襲相続があった場合[家系図④]  
 

[家系図④]

【日本民法の場合】

 配偶者:2分の1

 孫A:2分の1

●計算方法

 配偶者に2分の1、子の相続分の2分の1を孫が代襲相続人として取得することになります。

 

【韓国民法の場合】

 被相続人の配偶者:5分の3

 故人の配偶者:25分の6

 孫:25分の4

●計算方法

計算方法は、故人の相続分を2と考え、被相続人の配偶者の相続分を3と考えます。合計5あるうちの、3を被相続人の配偶者が、残りの2を故人が有することとなります。そこから、その故人の相続分5分の2を故人の配偶者と故人の子に按分することになります。

 

この按分でも故人の配偶者に5割増しの規定が適用されるため、孫Aの相続分を2、故人の配偶者の相続分を3と考え、故人の相続分5分の2をさらに5分の3と5分の2に按分します。

 

そのため、故人の配偶者は5分の2×5分の3=25分の6、孫Aは5分の2×5分の2=25分の4となります。

 

事例④では、前回説明したように、日本民法と韓国民法では相続分だけでなく、相続人(代襲相続人)も違ってきます。


■まとめ

 

今回は法定相続分について説明しました。事例でも確認したように、日本民法と韓国民法では相続分の計算が大きく変わってきます。

 

韓国民法の場合、相続人の数によって配偶者の相続分は変動します。そのため、どれだけの財産を配偶者に遺したいか、という観点からも、日本民法を選択するのか、韓国民法を選択するのか、検討することが必要となります。

 

次回は相続放棄と限定承認について説明します。
 

 

親泊 伸明/しんぱく のぶあき

日本経営ウィル税理士法人 顧問税理士

 

本稿は筆者が令和4年1月現在の情報に基づき、一般的な内容を簡潔に述べたものである為、その内容の正確性、完全性、最新性、信頼性、有用性、目的適合性を保証するものではございません。実際の判断等は個別事情により取り扱いが異なる場合がありますので、税理士、弁護士などの専門家にご相談の上ご判断下さい。

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