(※写真はイメージです/PIXTA)

1月に入り、日本国内でも新型コロナウイルスの新規感染者が急増しています。東京では、20日頃には1日あたりの新規感染者数は1万人に及ぶという予測があり、すでに緊急事態宣言を検討する県も出てきています。一方、日本以上に感染者が爆増しているアメリカでは、むしろ「規制緩和」という真逆の動きが起こっています。一体なぜでしょうか? 米国在住の大西睦子医師が、アメリカの現状をレポートします。

米政府の「ガイドライン」緩和に、専門家は賛否両論

オミクロン株の感染の拡大とともに、米国民の意識だけではく、政府のガイドラインも緩和されました。

 

CDCは2020年12月27日、新型コロナに感染した人の隔離期間を、ワクチン接種の有無に関係なく、無症状や症状が治まった場合、これまでの10日間から5日間へと短縮することを発表しました(※7)

 

また、感染者と接触した人は、ワクチンの追加接種を受けている場合、2回目の接種から6ヵ月以内である場合、マスクを着用すれば隔離は不要とされます。

 

CDCのワレンスキー所長は「オミクロン株の急速な拡大は社会のあらゆる側面に影響を及ぼしています。今回の改定は、ウイルスの広がりと、ワクチンによる防御を考慮したもの」と説明しています。

 

ジェラルド・ハーモン医師会会長は、米医師会雑誌(AMA)に「パンデミックは2年近く経過し、オミクロン株の症例が全米で急増している中、米国民はCDCに、愛する人や地域を守るためのタイムリーで正確かつ明確な指針を頼りにしています」「その代わりに、検疫や隔離に関する新たな勧告は、混乱を招くだけでなく、ウイルスをさらに拡大させる危険性があります」「CDC自身の根拠によれば、新型コロナ陽性反応から5日後でも、31%の人が感染性をもちます」「新しいガイダンスに従い、陰性でなくても5日後に隔離を終了すれば、何十万人もの米国人が感染したまま職場や学校に戻る可能性がある」と批判します(※8)

 

※7 https://www.cdc.gov/media/releases/2021/s1227-isolation-quarantine-guidance.html

※8 https://www.ama-assn.org/delivering-care/public-health/why-nation-needs-clear-advice-covid-19-isolation

 

■「隔離期間の大幅短縮、撤廃」は適切か?

ただし確かな科学的根拠もあります。

 

テキサス州ベイラー医科大学の感染症専門家ジル・ウェザーヘッド博士は、ナショナルジオグラフィック(※9)に、「感染者の鼻の中の生きた(つまり感染力のある)ウイルスの濃度を測定し、その濃度が時間とともにどのように変化するかを調べた研究があります。その結果、ウイルス感染力は通常、症状が出る1〜2日前から2〜3日後にかけてピークに達することがわかりました。つまり、陽性反応が出た5日後には、感染者が排出するウイルスの量は急激に減少します」と述べます。

 

スタンフォード大学感染症専門医アブラール・カラン博士は、「新しいガイドラインはトレードオフの関係にある」と付け加え、「労働力の莫大な損失を避けるという利点がありますが、その代償として、まだ感染力が残っているかもしれない患者を送り返すことになります。感染初期に比べれば、その感染力ははるかに弱いですが」と指摘します。

 

議論はあるものの、米国の規制緩和は進んでいます。

 

※9 https://www.nationalgeographic.com/science/article/9-big-questions-about-omicron-explained?cmpid=org=ngp::mc=crm-email::src=ngp::cmp=editorial::add=SpecialEdition_20220107::rid=29ABC199E1B9005930B511AF16BEC5FF

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