「だって、あの人は〈血液型がA型〉だから…」
私たちは人を評価するとき、ステレオタイプ化することがある。
出身地や性別、職業、血液型、星座などで、その人の性格をあるタイプに落とし込む。人によっては、ステレオタイプで他人を分類分けすることで、人付き合いをシンプルにわかりやすくしている。
「大阪人は『なんぼなんぼ』とお金の話を聞きたがる」「男は肩書で相手を決め付けたがる」「学校の先生は世間が狭い」「彼は血液型がA型だからせっかちだ」「彼女は天秤座だからバランス感覚がいい」などなど――。
それも一つのやり方だとは思うが、あまりに決め付けが激しい人だと、付き合いにくい相手となる。
居酒屋で冗談半分に話す程度なら大きな問題はない。しかし実際には、大阪人にもあまりお金の話をしない人もいるし、学校の先生にも世間の広い人はいる。ステレオタイプで人を決め付ければ、歪(ゆが)みからは逃れられないと心得よう。
才能に秀でた人は「人格もすばらしい」?
また人を評価するときには、「ハロー効果」と呼ばれるものがある。スポーツ選手として一流であったり、芸術家として優れた人を見たとき、人は彼(彼女)を、無意識に人格的にも優れた人だと思う傾向がある。一つ優秀なことがあると、それ以外も優秀ではないかと推測してしまうのである。
実際には、一流のスポーツ選手や芸術家として優れた人も、犯罪を起こしたりすることがある。運動能力や創作力と人柄の間には、必ずしも相関関係があるわけではない。しかし、なんとなく人格が優れていそうだと感じるのは、ハロー効果ゆえである。
もちろん活動期間が長くて、いろんなジャンルの人と付き合いながらも、評判が落ちない人は人柄も素晴らしい可能性が高い。しかしそれも、運動能力や創作力とは異なるものである。特別な能力はなくても、長い間の人付き合いで、他人からの評価の高い人は人柄も良いものである。
他者を評価するとき、判断が歪むという観点から、もう一つ気をつけておきたいことがある。ある人に関して、複数の情報に触れたとする。好ましい情報と好ましくない情報の二つがあるとしよう。そのとき、私たちは、好ましくない情報のほうを過大に評価する傾向があるのだ。
好ましい情報より、好ましくない情報のほうが影響が大きいことを、「ネガティビティバイアス」と呼ぶ。好感度の高い芸人も、スキャンダルを起こしてワイドショーのタネにされると、なんとなくスキャンダルのほうが記憶に残ってしまう。
これなども、私たちがバイアスに影響されている典型的な例である。
竹内 一郎
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