※写真はイメージです/PIXTA

2021年年末から2022年初頭まで、中国メディア各社における習近平氏の報道は大きなばらつきを見せた。一方、習氏の国民向けの新年あいさつから、毎年言及していた「改革開放」が消えるなど、様々な憶測を呼ぶ動きが散見される。これらの断片的・表層的な動向から、中国の政治経済の水面下の動きを推察する。

習近平の不安、李克強の自己防衛

このように2021年末〜22年初、習氏だけを大々的に取り上げる記事と、習氏への言及を意図的に回避したような記事が交互に発表されている。

 

人民日報、中央電視台、新華社の「三大党中央メディア」が2021年12月、一斉に「習主席が全党に党内法規を発揮し党中央の集中統一指導を守るよう重要指示発出」と報道。

 

「党内法規」は一般に「幇則」と称される一組織の内部規則だが、党が法の上にある中国では「国法」より重要で「習核心」と同じ意味だ。習氏は新年挨拶で、このところ党メディアが盛んに言及し第3の歴史決議でも強調された「自我革命」を再度強調。習氏は2021年11月の6中全会で、乱れたり安定したり、また栄えたり衰えたりする(治乱興衰)「歴史周期率」論を展開。

 

この周期から飛躍するための第1の答は、毛沢東が「人民に政府を監督させることによってのみ、政府は怠けないようになる」としたこと、第2の答は、党百年の歴史、特に第18回党大会以来実践してきた「自我革命」だと主張したが、2022年1月の党中央紀律委員会全会でも、この「歴史周期率」論を展開し、「様々な(形形色色的)利益集団がグルになって勢力を増す(成伙作勢)ことを防ぎ、密かに変異している腐敗手段に効果的に対応すること」で、腐敗にゼロトラレンス(零容忍)で臨むとし、「自我革命」に12回言及。

 

本来、自己批判し誤りを正すことだが、裏の意味は「政敵を倒す」ことと広く理解されている。かつて習氏が述べたとされる「党の基礎を揺るがす危険はいたる所にある(無处不在)」という不安の裏返しか。

 

経済に対する考え方が異なる習氏と李克強氏の不和が長く囁かれているが、その李氏が2022年1月、国務院が主催する専門家や企業関係者との座談会(2022年全人代で行う予定の政府工作報告に対する意見聴取)、政府工作報告意見稿を審議する国務院全体会議で、「習同志を核心とする党中央の指導で経済回復と発展の勢いを維持、、、難局の中でも経済面で大きな成果を挙げた」「習近平新時代中国特色社会主義思想堅持」などと、珍しく習氏に「ごまをすった(吹棒)」ことは、以上のような雰囲気を察知し、李氏が自己防衛に出たものかもしれない。

 

6中全会、工作会議という重要会議を経るなか、政治的に奇妙な現象が多々観察される。これらが秋の党大会に向けて何を意味することになるのか注目される。


 

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