(写真はイメージです/PIXTA)

本記事では、企業法務に詳しいAuthense法律事務所の弁護士の西尾公伸氏が、SDGsとESGを自社の経営に取り入れるメリットと方法について解説します。

企業がSDGsやESGに取り組むべき理由とは?

では、企業はSDGsやESGへ取り組むべきなのでしょうか?

 

自社とは関係がないと感じている企業もまだまだ多いように感じられますが、ここでは企業がSDGsやESGへ取り組むことのメリットや取り組むべき理由について解説します。

 

「EGS」が投資家が企業を評価する指標になってきた

 

先ほど述べた国連責任投資原則(PRI)に賛同する投資家が世界的に増えてきており、その実績も出てきたことで、むしろ積極的に投資判断に活かすべきであるという考え方にも変わってきております。

 

日本国内でも、大手機関投資家などが、ESGの視点を元に投資を行っており、企業にとって無視できないものであることは明らかではないでしょうか。

 

長期的な視線で考えると、利益増大へと繋がっている

 

そもそも、SDGsは単なるボランティア的な思考ではありません。

 

ゴールの達成へと取り組むことで、経済成長、すなわち長期的な視点で見た際には企業の利益増大へと繋がるものとされています。

 

少々極端な例ではありますが、例えばいくら便利なものを作っていたとしても、公害の原因となるような物質を垂れ流している企業が、長期的に見て成長しづらいという点は、おわかり頂けるのではないでしょうか?

 

もちろん、公害などは法規制もあるところではありますが、それ以前に、このような短期的な生産活動をする企業は顧客のみならず、社会そのものから支持されにくいですし、融資を受ける際に金融機関からの評価がマイナスになる可能性が高いです。

 

社会全体としてSDGs・ESG的な視点を重視する方向となってきている昨今、企業が顧客や他の関係者から支持され、長期的に成長をしてくためには、仮にSDGsやESGとの用語自体は用いないとしても、少なくともSDGsやESG「的な」視点は不可欠な時代となっているのです。

 

顧客がSDGsやESGを求めている

 

上記とも関連しますが、同じ商品であれば、SDGsやESG的な商品や企業の商品を選んで購入したいという人は増加傾向にあります。

 

SDGsのゴールには環境問題も含まれますが、前述した17の目標をご覧いただくとわかるとおり、ジェンダーの平等など、環境以外のもの含まれています。

 

環境汚染をくり返す企業や、例えば女性に対して差別的な取り扱いをする企業では、遅かれ早かれ顧客から見放されてしまうでしょう。

 

SDGsやESGは、単なる耳あたりの良いスローガンではなく、企業が顧客から選ばれ、持続可能な開発を行うためには、もはや避けては通れない目標なのです。

 

SDGs・ESGに関連する法令とは?

 

SDGsやESGにつき、個別の法令が定められているわけではありません。だからといって、SDGsやESGに関する法令がないのかと言えばそうではなく、そもそも、さまざまな個別法の中でSDGsやESG的な考え方は含まれているのです。

 

例えば、ゴール14の「海の豊かさを守ろう」に関連する法としては「環境基本法」や「水質汚濁防止法」などがあり、ゴール5の「ジェンダー平等を実現しよう」に関連する法としては、「男女雇用機会均等法」などがあります。

 

そのため、企業が関連法規をしっかりと遵守していくことで、それ自体がSDGsやESGへの取り組みへと繋がるのです。

 

なお、2020年10月、世界のESG投資を牽引するPRI(国連責任投資原則)が、「日本の持続可能な金融政策に関する報告」と題した提言書を公表しました。

 

この提言では、日本政府に対してさらなる政策や法制度の整備などを訴えています。この背景には、ESG投資に関する見えにくい日本市場に対する海外投資家の不満の高まりがあったようです。これに対して、日本がどのように対応していくかという点が注目されています。

SDGs、ESGへの取り組みが、資金調達に繋がる!?

次に、SDGs、ESGと資金調達についてみていきましょう。SDGs、ESGにしっかりと取り組むことが、資金調達にも繋がっていきます。

 

SDGs、ESG企業に投資が集まる合理的な理由

 

ESG投資は、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことを指します。

 

SDGs、ESGへ取り組んでいる企業へ積極的に投資をする投資家もいれば、ESG・SDGsに積極的に取り組む企業へ投資する投資信託商品も数多く登場しているのが現状です。

 

このようなSDGs、ESG企業への投資は、単なるボランティア精神のみから来るものではありません。

 

投資した資産を長期的な視点で増やしていくためには、SDGs、ESGへ取り組んでいる企業へ投資をすることが、経済的にも合理的であると判断しているのです。

 

社会全体としてSDGs、ESG的な嗜好が高まっている以上、今後もSDGs、ESG企業へ積極的に投資をする人は、増えていく傾向にあるでしょう。

 

SDGs、ESGへの取り組みで、融資が受けやすくなる可能性も!

 

積極的にSDGsやESGへと取り組むことで、金融機関からの融資が得やすくなることも考えられます。

 

SDGsやESGへの取り組みは、前述のとおり企業の成長にとって不可欠なものとなりつつあります。

 

こうした企業は金融機関としても融資対象となりやすいことに加え、金融庁が2018年6月、「SDGsは、企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成等による国民の厚生の増大を目指すという金融行政の目標にも合致するものであり、金融庁としてもその推進に積極的に取り組む」と表明したことで、今後いっそうSDGsやESGへ取り組む企業への追い風となることでしょう。

 

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    本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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