「公的年金はほとんどもらえないだろうから…」社長が若手のために導入した“1つの制度”

「公的年金はほとんどもらえないだろうから…」社長が若手のために導入した“1つの制度”
(※写真はイメージです/PIXTA)

企業型確定拠出年金とは、企業から拠出された掛金とその運用収益との合計額をもとに、将来の給付額が決定する年金制度です。実際に経営者はどのような考えで導入し、どのような効果を感じているのでしょうか。ここでは2008年に創業した「若手中心の販売業者」での事例を、企業年金コンサルタントの細川知宏氏が詳しく解説していきます。 ※プライバシー保護のため、細部は多少変更しています。

当初、社員は無関心だったが…「あるきっかけ」で変化

■確定拠出年金の導入後3、4年目から社員の取り組みが大きく変化

 

企業型確定拠出年金の導入当初は、社員が確定拠出年金の話をすることもなく、あまり関心や興味があるようには見えなかったそうです。そのため、C社長には、社員の間で新制度がどのように受け止められているのか分からず、不安を覚えたこともあったそうです。

 

それが3、4年経った頃から風向きが変わってきたといいます。

 

実際、その頃から私たちのところへも、Z社の社員の方から、運用商品に関する問い合わせや配分変更についての質問が増えていました。

 

C社長は「投資や運用というものになじみがなかったのが、一定の資産がまとまってくることで、やはり少しは興味が湧いてきたのかなと思いました」と振り返ります。

 

導入初期から加入している社員は、現在30歳代から40歳代前半になっていますが、選択制による拠出金を、1万円から2万円程度増額する人が多く、休憩時間にスマートフォンで自分の運用状況を確認する姿も見かけるほど、運用に積極的になっているそうです。

 

こうした変化に対してC社長は、次のように語ります。

 

「若い社員が多かったので、以前は、老後などまだまだ先のことだと思っていて、真剣に
考えることがなかった感じでした。ところが、例の『老後2000万円問題』が話題になった頃から、自分で資産を形成しておかなければならないというほうに考え方がシフトしてきたのかなと感じています。

 

確定拠出年金を導入したことによって『この会社はいいな』と思ってくれているかまで
は、正直分からないところですが……。ただ、資産の運用状況を気にするようになってきていることは間違いないですね」

 

将来に備えて資産を形成していこうという気持ちの変化を感じる一方で、20年後、30年後の退職というものを見据えて、具体的な目標を設定した老後資金対策を考えるところまでは至っていないというのが現状のようです。

 

C社長は「究極的にいえば、会社として直接してあげられることは、確定拠出年金という仕組みを提供するところまでで、その先については個々人の判断に委ねるしかありません。ただ、判断を誤らないためのサポート、例えば投資教育や最新の情報提供などは積極的にやっていきたいと考えています」としたうえで、

 

「社員の少ない会社ですから、個々人の属性に合った提案をすることが、具体的な目標設定やモチベーションの向上につながるのではないかと期待しています」と付け加えてくれました。

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    ※本連載は、細川知宏氏の著書『社員を幸せにしながら社長の資産を増やす方法』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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