会社を興す理由にはさまざまなものがありますが、コストを抑えて起業するならどのような方法が適しているのでしょうか。本記事では、永田町司法書士事務所の代表で司法書士の加陽麻里布氏が、合同会社と株式会社の起業の際にかかるコストや実態について解説します。

初期費用を抑えて起業するなら「合同会社」

次にご説明するのはイニシャルコストについてです。

 

ここまで、合同会社のデメリットになりうる面ばかりを解説してきましたが、合同会社にもメリットがあります。合同会社の大きな魅力はイニシャルコストの安さにあります。

 

株式会社を設立する場合は、設立税と呼ばれる税金を登録免許税として最低でも15万円を法務局に納めなければなりませんが、合同会社の設立税は印紙税の印紙代6万円のみとなっています。

 

また、会社を設立する際には、株式会社と合同会社どちらも「定款」を作ることになります。「定款」とは会社のルールブックのようなもので、会社の名前や本店所在地、事業年度がいつなのかといったことをまとめたもので、これを法務局に提出をする必要があります。

 

株式会社の場合は作成した定款を公証役場で認証手続きをしたうえで、法務局に申請する必要があります。この定款の認証費用は2022年の1月1日から引き下げになり、資本金が100万円未満の会社であれば3万円、100万円以上300万円未満であれば4万円、300万円以上であれば5万円…というように資本金によって認証費用は異なります。

 

一方で合同会社の場合は定款認証費用は0円で、そもそも公証役場で定款を認証する必要がないので定款の認証費用がかかりません。

 

これらの費用を合計すると、株式会社の設立にはどれだけ安くても20万円近くの費用がかかりますが、合同会社の場合は設立税の6万円だけで設立することができることができます。このように、設立費用を抑えて会社を設立できる点は合同会社の大きなメリットだといえます。

会社の設立目的、目指す姿に沿った選択を

最後に、任期について解説します。

 

株式会社の場合、役員と出資者は別に存在しています。役員の任期は最長10年とすることができますが、合同会社の場合は出資者と役員は同じ人物であるため、役員の任期という概念が存在しません。

 

そのため、合同会社はイニシャルコストだけでなくランニングコストを含めて、株式会社よりも非常に安く設立・運営できるということも魅力だといえます。

 

そのため、この先事業を始めて、いずれは上場したいという希望がある場合は、株式会社でやっていくべきだといえます。

 

しかし、売上が1000万円以上ある場合は法人成りしましょう、という一般的な目安があるのなかで、フリーランスの方がただ箱として法人成りするだけという場合や、仮想通貨などで大きな利益が出たので、税金対策として法人を作りたいといった場合であれば、合同会社をおすすめします。

 

 

今回解説した、イニシャルコストが安いという理由だけで合同会社を選ぶのは危険ですし、株式会社にするほどでもないのに株式会社にするのも無駄なコストがかかります。

 

間違った選択をしないためにも慎重に検討を重ねることが必要です。

 

■動画でわかる、合同会社と株式会社の違い

 

 

加陽 麻里布

永田町司法書士事務所

代表司法書士

 

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