
認知した子どもと血縁関係がある場合は認知を取り消すことはできません。しかし、認知した子どもと血縁関係がない場合には認知を取り消すことが可能です。本記事では、行政書士法人ストレートの大槻卓也行政書士が認知の取り消しと認知の取り消しを申し立てる際に必要な書類の作成方法を解説します。
認知無効請求とその性質…親子関係の否定に必要な要素
認知によって生じた親子関係を否定するには、認知無効の裁判によらなければならず、親子関係不存在確認の裁判によることはできません。
ところで、判例は古くから、認知無効の訴えの性質について、無効の審判または判決が確定してはじめて遡及的に無効になるとする形成訴訟説をとっています。
認知の無効が当然無効(※確認訴訟説)であるか、それとも認知の無効を宣言する判決が確定してはじめて遡及的に無効となる形成無効(※形成訴訟説)かは学説では大きな論点になっています。
下級審では確認訴訟としたものもあります。後掲の認知無効請求訴訟の書式は、形成訴訟説に従った形の請求の趣旨を記載しています。
確認訴訟説に従った場合の請求の趣旨は、「原告の亡父Aが平成○年○月○日、B市に対する届出により被告に対してなした認知は無効であることを確認する。」という形になります。
未成年でも認知無効を訴えられる
当事者が未成年者であっても意思能力があれば、単独で訴訟行為をすることができます。親権を行う母については、子の意思能力の有無を問わず、親権を行う母が法定代理できます。
利害関係人とは、真実に反する認知があることによって法律上利害関係を有するものであり、認知によって相続権を害されるもの、認知者の三親等内の血族・認知者の妻・子の実父母・子の直系卑属などです。
子の認知無効の訴えの国際裁判管轄権について
日本の裁判所が管轄権を有するのは、以下のいずれかの場合です。
■日本の裁判所が管轄権を有するケース
- 身分関係の当事者の一方に対する訴えであって、当事者の住所(住所がない場合または住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき
- 身分関係の当事者の双方に対する訴えであって、その一方または双方の住所(住所がない場合または住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき
- 身分関係の当事者の一方からの訴えであって、他の一方がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき
- 身分関係の当事者の双方が死亡し、その一方または双方がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき
- 身分関係の当事者の双方が日本の国籍を有するとき(その一方または双方がその死亡の時に日本の国籍を有していたときを含む)
- 日本国内に住所がある身分関係の当事者の一方からの訴えであって、身分関係の当事者が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき
- 日本国内に住所がある身分関係の当事者の一方からの訴えであって、他の一方が行方不明であるとき、他の一方の住所がある国においてされた訴えに係る身分関係と同一の身分関係についての訴えに係る確定した判決が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理および裁判をすることが当事者間の衡平を図り、または適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき
認知の取り消しに関するまとめ
- 認知が真実に反し、認知者と被認知者の間に血縁関係がない場合には、民法786条に基づく認知無効の調停を申し立てる
- 調停で合意ができなかった場合は認知無効請求の訴訟を提起する
大槻 卓也
行政書士法人ストレート 代表行政書士
【勉強会/相談会情報】
※【少人数制勉強会】30代・40代から始める不動産を活用した資産形成勉強会
※ 【対話型セミナー/複数日】会社員必見!副収入を得るために何をすべきか?